第29話


『 『冒険者ギルド』内部のも影響していたにゃ』

 レヴェナントの脳に黒猫の声が響く

「元の世界で観た事のあるテレビドラマシリーズ踊る大捜査線

 登場人物が『正しいことをしたければ偉くなれ』という台詞があったんだけどさ、

『偉くなればなるほど、』時は、どうしたらいいのか

 質問したかったよ」

 レヴェナントは脳に響く黒猫に対して、そう脳内で返す



』掃討作戦には、数十か国の近隣諸国が参加した

 が、そこに出来上がったのは

 出来上がった

『俺もあの時の死に戻りリスタートが一番きつかった』と、レヴェナントは

 思い出し、苦々しい 表情を浮かべた

 それはレヴェナントが、この討伐を終わらせる決意をした切っ掛けでもあった


 近隣諸国内の貴族と王族の権力争いにはじまり、近隣各国の国益を懸けた

 権謀術数の外交駆け引き、『冒険者ギルド』と近隣諸国領主達との

 腹の探り合い、冒険者『集団クラン』と『小隊パーティ』の主導権争い、

 近隣諸国がそれぞれ雇入れた傭兵『軍団レギオン』が入り混じっての

 三つ巴の奪い合いと殺し合い・・・

 そこに近隣の工作員や国家規模の犯罪組織や

 利権争いを繰り広げる大商店同士暗躍し、正々堂々とは程遠い戦いの

 数々が繰り広げられた

 その時の死に戻りリスタートでは、多かれ少なかれ汚いモノも

 レヴェナントは見なくてはならなかった


とも、『は、自然の摂理が生み出したバランサーだ』だいう過激思想団体が出現もしていた影響もあるにゃよ』

 レヴェナントの脳に黒猫の声が響く

「あのわけのわからん過激思想団体は、方法を

 使って芽が出ないうちに叩き潰していたのに、どうやってでも湧いて出てくるのは

 の何かしらの理不尽な力が動いているとしか思えない」

 レヴェナントは脳に響く黒猫に対して、そう脳内で返す



 掃討作戦のために強行された様々な策は、

賢者セージ』と呼ばれる過激派武装集団の形成を促した

 糾合して組織を結成した、『賢者セージ』は

 掃討作戦後、近隣諸国連合の統治下にある地域内で深刻な武装闘争を

 巻き起こした

賢者セージ』と組織化したの闘争は市街戦の

 様相を呈するほどに苛烈になった

 周辺諸国の本格的な介入により武装闘争は短期間で沈静化し終息すると

 思われたが、散発的な武力衝突やテロ行為が続いた



 そしてにはな性質もあった

 が一匹討伐し消滅したら万々歳とはいかない

 消滅したら

 事実は残っても誰の記憶にも残らない

 それどころかに襲われたという記憶すら残るか

 怪しいほどだ

 ただでさえ人型に近いと言うのに『間のような存在を喰らう』――

 それはこの世界にいる全ての種族に取っては天敵だった・・・ただ、

 レヴェナントを除いてはだ



『――その方法で続けて死に戻りリスタートしたから、

 残りは、国の中枢部に食い込み、強大な

 権力を一つ手に入れたにゃ

 それとにゃ』

 脳に黒猫の声が響くと、レヴェナントには何度思い出しても

 不快な記憶を呼び起こす

 まるで自分の頭蓋の中に汚泥が流れ込んでくるかのような気分になった




「5回も死に戻りリスタートして『正しいこと』を行う事が無理ならば、

 ここは一つ、よろしく成り上がるしか方法がなかったよ

 幸い『蒼玉』級まで上がれば、国や領主から強制依頼で参加の義務というのがあるし、そこまであがれば書類上は男爵や伯爵相当の身分を保証されるから、

 事は楽だった

 まぁどっちも変わらない地獄だったけど・・・」

 脳内で響いた黒猫の言葉に対して、そう応える

 ただ、そんなレヴェナントを見た後、少し呆れた様子をみせた


 の過酷な経験を生かしたレヴェナントは、その経験を元に

 一介の冒険者から最高ランク『蒼玉』級まで登りつめた

 からの勧誘を受諾して

 地位を手に入れたレヴェナントだったが、悪魔的なほどの

 生存と殺しの技巧や異例の出世スピードに嫉妬した貴族などに

 終始脚を引っ張られ続けた

 それは討伐戦が始まってからは、さらに

 酷くなった

 が……それでもレヴェナントは止まらなかった



複数の特定国家内での過酷な経験を生かし、が紛れ込んでいる地域での討伐は、多くの犠牲と多大な時間を費やした

 用意周到な準備をしても短くて六年、酷く長い時は一三年も泥沼が続いた

  特に過激派武装集団『賢者セージ』によるゲリラ戦に

 翻弄された

 レヴェナントの対策は、『賢者セージ』のメンバーや 《《ドッペルゲンガー》が潜む農村や村を殲滅するという苛烈な方法を取った

 その所為で、農民たちの中には逃げ隠れする者や過激派武装集団『賢者セージ』に身を投じる者も出て来た始末だった



『けど・・何だにゃ?』

 レヴェナントの脳に黒猫の声が響く

「 難易度変更がなければ、今度こそ今までの死に戻りリスタート

 経験した知識を存分に発揮して、『冒険者ギルド』内部のさまざまな矛盾した

 問題を含めたものものの事を対処して、『』共を

 根絶してやろうと考えていたんだよ」

 と答える

 まあ、それも難易度変更で諦める事にしたけどね・・・と更に言葉を続けた




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