第23話



 記入事項を全て埋めたレヴェナントは、若干震えている手で

 記録用紙を受付嬢に差し出した

 受付嬢は、記録用紙を受け取り視線を向け逐一頷きつつ確認すると、

 銀の染筆を手に取る

 それを『青銅』の小板に文字を刻みつけていった

「身分証も兼ねています

 何かあった時の身分を証明するのにも使いますから

 無くさないように――――『レヴェナント』さん」

 受付嬢が『青銅』の小板をレヴェナントに手渡した

「――――――」

 レヴェナントは何か言いたそうにしつつ、受け取った『青銅』の小板に

 視線を向ける

 そこには細かい文字で、登録用紙と同じ内容が刻みつけられていた

 レヴェナントは、曖昧というか何か複雑な表情を浮かべつつ

『青銅』の小板を受け取った


「それでは『冒険者ギルド』の詳しい説明をさせて頂きますね」

 受付嬢が明るい声で言ってきた

 冒険者等級は全部で7段階

『青銅』からはじまり、『鉄』 『銀』 『金』 『白金』 『黒』 『蒼玉』と

 ランクが決まっている

 登録仕立ての駆け出しは、最底辺の『青銅』からはじまる

 中堅と呼称されるのは、『銀』『金』級からだ

 信用と実力を兼ね備えた『白金』『黒』級

 そして国家規模の難解な任務に関わり、伝説レベルの実力者で

 占められているのは最高位の『蒼玉』級だ



 ―――説明を聞くレヴェナントだったが、内容は

 うんざりしそうになりつつも、静かに拝聴を続ける

「依頼は、あちらに張り出されています

 等級に見合ったものを選ぶのが基本ですが、どの等級であっても

 全て受ける事か可能です」

 受付嬢が説明する

「一番低い『青銅』で、高難度の依頼を受けても?」

 巨大なコルク板で備え付けられている掲示板に視線を向けつつ、

 レヴェナントが尋ねる

 が、念のために

「可能です

 ご忠告はさせていただきますが・・・

 契約した高難度の依頼を途中放棄し、自分自身の

 信用を減らしても『冒険者ギルド』は責任を持ちませんので

 また、例え高難度の依頼を成し遂げても、進級は厳しいですよ?

 討伐した魔物、社会貢献、人格の規定がありますから」

 受付嬢が再び説明した


『そこに『冒険者ギルド』の信用を著しく傷つけた悪質冒険者には、

『冒険者ギルド特殊活動部』に所属する『処刑人ファントム』が

 命の取り立てに伺う・・・とは言ってくれませんかね』

 説明を聞きながら、レヴェナントが思った

『冒険者ギルド』の信用を傷つければ、その愚か者に待っているのは

 死の扉を開く選択しかない

 それが貴族の関係者であれ、神の僕である司祭であれ、駆け出しの

 冒険者でもあれだ

 レヴェナントは『冒険者ギルド特殊活動部』に勧誘され、空前にして絶後の

 処刑人ファントム』として。陰謀が渦巻く凶暴で

 無法世界を震え上がらせた死に戻りリスタートも、世界各国にある

『冒険者ギルド』に属する『冒険者ギルド特殊活動部』から放たれた

処刑人ファントム』と凄絶な死闘を繰り広げた死に戻りリスタート

 も経験済みだ






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