第4話
「数も多いし戦意も高い』
男性がぽつりと呟きつつ、大柄な猿の顔面に全体重を乗せた拳の強打を
叩き込んだ
聞くに堪えない濁った奇声と、殴打される嫌な音が響く
大柄な猿は半狂乱になってもがくが、男性の左手で頸をガシッと掴み取られては
身動きができなかった
やがて動きが止まり力が抜けたように四肢をだらりとさせた
男性は息絶えたのを確認すると、床へ無造作に捨てた
どさりと重い音を立てる
辺りには、もはや大柄な猿であったのかも判別できない肉の塊が無残に
放置されていた
噎せ返るほどの血と臭いが、空気と入り混じり渦巻いている
訝しげな視線を一瞬だけ前方へ向けると、大柄な猿の大群らしき姿はもはや
存在しなかった
さすがに異様に戦意が高かった大柄な猿の大群も、予想以上に同族が男性による猛烈な反撃で、薙ぎ倒され殴り飛ばされ葬られ続けては攻勢の限界に達した様だった
『1人でも余裕にゃ』
足元から声が聞こえる
そこには、いつの間にかいた黒猫の姿があった
「結構ぎりぎりだったよ
幾ら経験を繰り返していても、今回は一味違う」
男性が呟きつつ、ある場所に視線を向けた
視線の先には床を這いずっている大柄な猿の姿があった
男性は転がっている棍棒を拾い手に持つとゆっくりと接近する
一瞬の間を置いて、棍棒で大柄な猿の頭部に振り下ろした
『一味違うとは、何だにゃ?』
黒猫が喋る
「管理人さんから後々、にゃんこさんに連絡があると思うけどーーーー
今闘ったこの猿は、今回はやけに堅かった感触だったよ
といっても、今までは襖の障子てきな柔らかさから発泡スチロールな
堅さに変った感触だったけどね」
男性はそう応えつつ、息絶えていない大柄な猿はいないか警戒した視線を
辺りに走らせる
『何とも分かりやすい表現というべきか、わかりにくい表現というべきか・・・
で、時間はかかったがにゃ、『召喚魔法陣』に向かうにゃ
それと神様にゃ』
黒猫はそう喋りつつ歩き出す
「これだけ倒したんだから、何かご褒美的なものを引き当てたいなぁ」
男性はおどける様に応える
薄暗くひんやりとした空気が漂う通路を男性と黒猫は速足で進む
幸いにして魔物とは遭遇はしなかった
幾つもの通路から通路へと渡り歩き終えるのだが、男性と黒猫の足取りは、
まるで何度も通っている様な歩き方だった
しばらくすると視界が全くきかない真っ暗の場所が見えてきた
「にゃんこさん
いつも通りなら、このダークゾーンの中にあったよね?」
男性が尋ねた
『いつも通りなら、ダークゾーンの中には落とし穴もあるにゃ
それで何度も死に戻っているにゃ』
黒猫がそう喋る
「・・慎重に行きます」
男性は息をふぅっと吐くと、全体が真っ暗なダークゾーンへと飛び込んだ
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