第2話
松明の灯がない中、男性と黒猫は深い闇の中を警戒しつつ
進んでいた
その進み具合は、まるで道筋を覚えている様な進み方だ
しばらく歩き進んでいると、ギチギチというあまり気分の
良くない音が響いてきた
「遭遇するのが早くない?」
男性の口から、不安と警戒の色の濃い呟きが出た
『・・・ずいぶん早い事は確かにゃ』
黒猫が、男性の呟きに応えるかの様に喋る
男性は息を呑み、大きく息を吐くと強ばった身体をほぐす様に腕を動かした
『素手で闘うのかにゃ?』
黒猫は、男性の様子を見てそう喋る
「回復薬もなく武器もなければしかたがないよ
それに『魔法陣』はこの先だよ にゃんこさん」
男性は肩を竦めつつそう告げるとびくりと武者震いをする
男性と黒猫の前方から、最高速度で疾駆してくる何かが向かってきた
それは粗雑な棍棒らしき武器を手に持った大柄な猿の群れだ
しかも直感的に大群だと理解していた
「いつも以上に数も多ければ武器持ちも多い気がするけど・・・
だが、こっちは
あるんだ――――
修羅の如き凄絶さで咆哮した男性は、前傾姿勢となり地を蹴る
少なくとも人間では出せない電光石火の速さで、一気に間合いを詰めた
懐に飛び込んだ先は、大柄な猿だ
その腹に拳を叩き込むと、大柄な猿は壁まで軽々と飛ばす
男性の方は、何か違和感を感じたのか怪訝な表情を一瞬だけ浮かべた
次の瞬間にはそんな事など忘れてしまった様に、また駆け出した
今度は先程よりも速かった
驚き戸惑う大柄な猿の群れに男性は気にした様子もなく、再び怪訝な表情を
浮かべつつも、2匹目の側頭部に回し蹴りを叩き付けた
頭蓋骨を割られた大柄な猿は、床に倒れる
男性の方は、やはり怪訝な表情だ
驚き戸惑っていた大柄の猿の群れも、ようやく我に返り雄たけびのような奇声
と共に粗雑な棍棒らしき武器で、男性に連撃を繰り返す
眼にもとまらない連撃を、男性は木の葉の様にひらりひらりと躱し続ける
回避を上手く織り交ぜつつ、男性は大柄の猿に拳を叩き付ける様に打ち込んでいく
叩き付けられた大柄の猿は、もちろん絶命していく
一匹の大柄な猿の水月に拳を叩き付けると、吐瀉物を巻き散らしながら
仰向けに倒れた
振り返りざまに強烈な手刀を一閃させると、首筋に受けた大柄な猿はあり得ざる
角度を向いて崩れ落ちた
獣のような獰猛な笑みを浮かべている男性だが、全身の血が逆流するような
嫌な予感におそわれていた
それは何度も
言ってもいい直感だった
男性は身構え、辺りを見回すと獲物を見つけたかのように興奮している大柄な猿が
犇めき合っていた
興奮している大柄な猿は、奇声を発しつつ 次々と襲いかかった
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