第7片
目が覚めた娘はしばらくして
自分の身体に違和感があることに気づきました。
手足の感覚が鈍く、お腹が重い感じがしたのです。
娘は魔法使いにその事を相談しました。
魔法使いは焦った様子で彼女の足に触れ、
魔法で治療を始めました。
すると、足がどんどん軽くなっていき、良くなっていきます。
娘は驚きました。
魔法使いは自分が魔法使いであるという真実と共に
娘が病にかかっているという嘘を伝え、
治療をさせてほしいと願い出ました。
身体には魔力の影響が出ない様、
触れるのは治療の時など必要最低限にするという
約束も添えて。
娘は少し悩んだ様子でしたが、
お礼を言い、治療してほしいと微笑むのでした。
魔の者を受け入れてもらえないかもしれないと思っていた魔法使いは、本当に良いのか尋ねました。
すると彼女はこう答えたのです。
"あなたのことを信じます"と。
彼女には魔法使いが、
優しい青年にしか見えなかったのです。
魔法使いは、その言葉にとても喜びました。
そして、お礼を言おうとした、その時でした。
つーっと魔法使いの鼻から
血がさらりと流れてきました。
娘は驚き、近くにあったハンカチを渡します。
魔法使いはハンカチを受け取り、
血を拭いながら考えました。
これは身体の変化に対する影響なのだろうか、と。
娘はそんな魔法使いの様子を見て、
心配している様でした。
魔法使いは娘のその様子から
自分が心配されたという事に気づきました。
それは何とも心地が良く、こそばゆいもので、
魔法使いの心をふわりと暖かくしました。
そして、娘には"疲れただけだから大丈夫だよ"と
柔らかに笑い、その場を離れるのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます