第3片

魔力の減らし方を覚えた魔法使いは、

毎日が楽しくなりました。


幾久いくひさしく現れなかった身体の変化に

胸を踊らせていました。



そんなある日、17、18歳くらいの

一人の少女を見かけました。


甘く爽やかな花の香りがする美しい娘でした。

森には果物などを取りに来た様で、

果実も入れた籠を持っていました。


娘は、たまたま離れた所にいた魔法使いを見つけ、

微笑み、会釈をしました。


娘にとっては

挨拶程度の笑顔とお辞儀でしたが、

魔法使いにとっては

心がかき乱される程、大きな出来事でした。


自分のために向けてくれた笑顔に

胸が苦しくなりました。


魔法使いは娘が気になるものの、

近くによってはいけないと思い、

哀しい気持ちと共にその場から離れる事にしました。

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