第2片

魔力をなくす方法は意外にも簡単でした。

それは"誰かのために力を使う事"だったのです。


魔の力は邪悪が源となる力。

その為、善良な事に使えばペナルティとして、

使った魔力は回復しないというルールがあったのです。



先日、魔法使いは崖崩れに遭遇していました。

その時、子連れの旅人の上に振ってくる

落石や崖の一部を魔力を使い払いのけ、助けたのです。


微々たる量ではあるものの、

使った力は翌日以降も戻る事はありませんでした。


魔法使いは、その一縷の希望にかけ、

遠くから人を助ける行為を繰り返えすことにしました。


すると、なんということでしょう。

見る見るうちに力は減っていくではありませんか。


魔法使いは、喜びを噛みしめました。


孤独にも飽き、

生きる目的も忘れてしまった魔法使いは、

自由で在りながら、生に囚われていました。


そんな魔法使いの中に残った

たった一つの望みは、


―――解放でした。



久しぶりに身体から湧き上がる喜びが、

死に逝く事とは、なんと哀しいことでしょう。



なのに、死という願いをいだいた魔法使いは、

心の底から喜んでいたのでした。

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