第1片

ある暗い、暗い、森の奥に

夜色よるいろの髪と薄紫アメジストの瞳を持つ

一人の青年が住んでいました。


青年は魔法使いで、

とても大きな力を持っていました。


そのせいで、

魔法使いは飽きる程の

永い、永い、時を独りで生きてきました。


なぜ一人かって?

それも、魔法使いの力のせいでした。


魔法使いの魔力はあまりにも大きく、触れた瞬間、

生き物の身体や精神を壊してしまう程でした。


一般的な魔力の量であれば、そうはなりません。

徐々に侵食して、崩壊させることはあっても、

触れた瞬間、というのは類を見ないことなのです。


そして、

何故、自分が魔の力を持っているのかも

もう思い出せない魔法使いは、

自分の力が良くないモノだという事だけを心に刻み、

人を傷つけない様、孤独に生きる事にしたのです。



ある日、

そんな魔法使いに嬉しい事が起こりました。

なんと、魔力を失くす方法が見つかったのです。


魔法使いは泣いて喜びました。




”これでやっと自由死ねるになれる”、と―――――――――



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る