第2話 不確かなキャリアビジョンは、足枷にしかならない

 キャリアビジョンと聞いて、ピンと来る方はいらっしゃるでしょうか? もしそうなら優秀ですね。

 簡単に言うと、定年迄に何を成し遂げるか、その道筋を描く事です。成功者の多くは、将来的なビジョンを持っています。


 例えば、起業家として成功したい。こんな夢が有ったとします。

 その会社は、何を扱うんですか? 会社を起こすのは何歳の時ですか? 成功させる為にどんな準備をしますか? どの位の資金を用意しますか?


 会社なんて誰にでも作れるんですよ。届け出を出すだけで終わりです。それこそゼロ円で初められます。でも、何の準備も無い会社が成功すると思いますか?


 だから起業迄の道筋と、起業してからの展開を考えるんです。この時、出来るだけ細かくなのが、重要なポイントです。


 少し失敗談を語りましょう。

 とある企業の経理担当者が、総務担当者に言われました。


「アメリカに会社作ったんだ。スタッフを一人派遣して業務をさせるらしいよ」


 それだけだと、さっぱりわかりません。総務担当者も社長命令で手続きしただけで、多くを理解していません。当然ながら派遣される予定の社員もね。


 経理担当者と総務担当者の仕事は、支度金の算定に伴う、生活必需品の判定と地元物価調査と、税務処理方法の確認から始まりました。

 そして、会計処理に関する報告の取り決めを、派遣対象の社員に説明し送り出しました。

 

 事業は成功したのか? 最初は上手く行きませんでしたよ。

 何もかもが手探りで、負担ばかりが増えていくだけです。結局は下地作りを行う事しか出来なかったんです。


 当然ながら時差が有ります。日本と昼間は現地の夜中です。大抵はメールでのやり取りになります。

 また、直接連絡をするなら、どちらかが夜中まで仕事をしている必要が有ります。


 伝手を頼ってサポート会社を探し、社内の関連部署と連携してバックアップ体制を整える。

 現地に赴いて状況を知る事も大切です。勿論、サポート会社との会談や、銀行担当者との顔合わせも必要になります。


 全部一人で出来る事では有りません。複数の人間を動かす必要が有ります。そして、そんな地道な下地作りが、事業を成功させる道へと繋がりました。

 

 但し、大量の業務を抱えた経理担当者を含めて、二人の社員が倒れる事になりました。

 もし、当初から明確なビジョンを有されていたら、倒れる程に苦労をする必要が無かったんです。何故なら、端から問題点を洗い出す事が出来たんですから。


 但し、経験の無い事に関しては、明確に出来ない点が多く、想定外の出来事が起こります。

 例えば、コロナウイルスがこれ程に世界を混乱させると、二千十九年度内に予想していた人はどの位いるでしょう?


 多くの企業が倒産し、職を失った方も多いでしょう。ストレスにより、心身共に不健康な状態に陥る方も、少なくはないでしょう。


 今、あなたのキャリアビジョンは、崩れさりましたか? もしそうなら、そのビジョンは余り明確では無かったのかもしれませんよ。

 

 序盤に書いた事と、失敗談を思い出して下さい。単に、将来どうしたいかを書き出だけで、終わってはいけません。検討をする事が重要なんです。


 大学を卒業したら、外資系の企業に就職する。そこで七年間働いて、企業資金を貯める。培った技能を活かして起業する。

 

 そもそも、こんなアバウトなのは、ただの願望で有り、キャリアビジョンとは言いません。


 もし、大学を卒業出来なかったら? そもそも希望する大学に、合格しなかったら? 外資系の企業に就職出来なかったら? それ以外にも、予想出来ない事態が訪れたら?

 一つでも失敗すれば、破綻するだけの不確かなビジョンなら、考えない方がマシなんです。

  

 わかりますか? この時に必要なのは、リスクマネジメントなんです。失敗を仮定して対策を講じるんです。

 希望の会社に就職出来ない、イコール即破綻では無いんです。どうなったら失敗かを検討し、希望を叶える為の道程を幾つも用意しておくんです。

 

 少しでも失敗の可能性を消す。これに実行可能性を加えれば、より精度が高くなります。

 明らかに無謀と思える事に、挑戦するなとは言いません。ですが、確実性を高めていれば無謀では無くなります。


 場当たり的な行動をするより、計画的な行動をした方が、無駄な苦労は少なくなるでしょう。

 今からでも遅くは有りません。少し、考えてみては如何ですか?


 ご覧頂いた皆様に、幸せが訪れます様に。

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