第29話 ベーシック・インカム(税金編)
さて、ベーシック・インカムを実現する為の、近未来の財政問題。
財政について設計の予言者が提示している、二点目が税金問題だ。
ちなみに、設計の予言者が目指すところは「無税国家」である。
さっそくではあるが、まずは我々の生活に一番身近な、一般世帯における支出を簡単に見てみよう。
年収400~500万円の家庭をサンプルにした、家計支出「不動のトップ3」と言われているのが次だ。
1位 税金・社会保険料
2位 食費
3位 交際費・お小遣い
上記3つの内で、ダントツトップなのが、2019年では「税金・社会保険料」。
この「税金・社会保険料」を、他の二つと比べてみると、「食品」の約1.5倍、「交際費・お小遣い」の約2倍であり、「給料の総支給額の約3割」を占めると言う。
「税金・社会保険料」が、如何に家計を大きく圧迫する支出なのかが分かる。
現在の先進国は、ケインズの修正資本主義を土台とした、手厚い福祉社会を築いている。
反面、税金は膨大であり、それに掛かる費用も馬鹿にはならない。
現在の日本の税収をザッと見渡すと、まずは「国税」と「地方税」。
国税には、所得税・法人税・相続税からはじまり、たばこに酒に自動車などがある。
また、地方税には、住民税・事業税・固定資産税に自動車等々があり、国税と地方税を合わせた税金の総数は、分類だけでも50に及ぶ。
これら全てに、税金を徴収する為の仕事・組織があり、挙げ句の果てには天下りまでがぶら下がる。
無駄と言っては失礼だが、もし税金がゼロになれば、必要のない経費である事には変わりない。
また、ケインズが提唱した修正資本主義は、「大きな政府」と言われるもので、その柱が財政支出政策と公共事業の推進となるが、これらにはどちらも、天下りやら経費の無駄遣いが付きまとう。
これに対し、設計の予言者の未来記における世界は、「政府の運用は企業もしくは組合からの拠出金や、寄付のようなもので賄う」事になるらしい。
従って税金のシステムは無くなるか、極めて簡素なあり方に変わる。
いや、変えて行かなければならない。
そうすれば、税金にまつわる天下りなどの無駄遣いまでもが無くなる・・・・・・予定だ。
奇しくも、2021年8月17日中国共産党中央財経委員会・第10回会議で、突然打ち出された「共同富裕」、このキーワードと言われている「三次分配」がこれに近い。
詳細は助長になるので割愛するが、三次分配の概要だけは紹介しておこう。
まずは一次分配からだが、これは市場経済による富の分配を指す。
そこから生まれた格差を、埋めるものが二次分配で、税や社会福祉による再分配の事を言う。
最後に三次分配の概要となるが、それは次の様な事を意味する。
「個人が自発的に、可処分所得の一部、または大部分を寄付する事。」
狙いは「高収入を合理的に調整し、違法収入を取り締まる。」ところにあるとされているが、富裕層叩きの政策だと揶揄もされている。
しかし、「日本の富裕層はフリーターより税金を払っていない」と指摘されている通り、税制による二次分配では限界がある。
もっとも、富裕層が払う税金の額が、フリーターよりも低いと言う訳ではない。
しかし、現在の日本の税制度では、高額所得者ほど税金の優遇制度の選択肢が多く、結果としてフリーターよりも実質の税負担は軽くなっている。
逆に言い換えれば、所得の低い者ほど税金優遇の選択肢が少なく、貧困で身動きが取れない社会だと言う事だ。
お隣もこれに似た税の構図と思われるが、それを是正する為の「三次分配案」と考えられる。
しかし、場末の予言屋によるナンチャッテ予言によれば「時期尚早」である。
さて、ベーシック・インカムコーナーもいささか助長になって来た。
「三次分配」が時期尚早である理由と、その解決策については、次の「電脳世界コーナー」で、負の経費削減案とともに言及して行こう。
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