覆面の男
今日も、、とても楽しかった。
正直、楽しいなんて言っていられる状況ではないんだけど・・・。
ファミレスでの妹尾さん、、男性なのに、食事が凄く遅かった。もしかして、私のスピードに合わせてくれてたのかな?
温子が私との関係を尋ねた時、凄く困っていたような気がしたけどやっぱり、妹尾さんみたいなしっかりした男性から見れば、私は子供に見えるのだろうか。一年歳が違うだけで凄く大人のような気がする。私も頑張って追いつかなきゃ。妹尾さんはW大の一年だといっていたっけ・・・。だとすれば、来年の4月には、私は妹尾さんの後輩になる。そして、大学生活を一緒に送ることも出来る。
そうか!もっと頑張れば、きっと私の事を恋愛の対象にしてくれるはず!頑張れ私!
「はぁー」
思わずため息が出た。
無理やり明るく自分を励ましてみたものの心は深く沈んだままだ。
どうしても、あの電話のことが蘇ってしまう。一体、あれは何だったんだろう?何故、私の携帯番号を知っているんだろう?それにあの鳥肌がでるような気持ち悪い声・・・。思い出しただけで背筋がゾクッとする。
きっと、私を突き落とす犯人に違いない。確証は無いが、私の中で危険アラートが鳴り続けている。
「ピンポーン」
この夜中に何?宅配便は来るわけないし、もしかしたら妹尾さん?
私はベットから飛び起き、ドアフォンのスイッチを押す。すると液晶画面に、覆面を被った男が浮かび上がった。
「誰っ!!!」
「・・・・・・」
男は黙って、マンションの入り口から外に出て行った。
犯人は、携帯番号だけでなく、私の部屋番号まで知っている・・・。何故?何故なの?
パニックになった私は、ほぼ無意識でスマホに登録している妹尾さんを呼び出していた。
彼は、まだ寝てなかったのだろうか?
ワンコールで出てくれた。
「美依由ちゃん?どうした?何かあったのか?」
優しいトーンに気持ちが和らぐ・・・。しかし、叫ばずにはいられなかった。
「妹尾さん!!覆面を被った男がオートロックのインターフォンから私の部屋番号を押したみたい。私の部屋と携帯番号は犯人に知られている!」
私は、一気に言葉を発すると肩で息をしていた。
「分かった。大丈夫。まず落ち着こう。ほら、深呼吸して」
私は言われたように数回深呼吸をする。すると、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
「今から言うことを良く聞いて。まず、絶対にドアは開けては駄目だよ。すぐに行くからね。君のマンションに着いたら携帯に電話する。電話をしながら、オートロックの部屋番号を押すからね。分かった!?それまでは、絶対にドアを開けては駄目だからね」
「うん、、あっ、はい。わかりました。私、これからどうなっちゃうんだろう?」
動揺して、もはや敬語か使えない。
「あとでゆっくりと話そう。多分三十分くらいで行けると思う」
私は、電話を切った後も、床に座り込んで震えていた。
覆面は被っていたがあの雰囲気、、。何処かで見たことがある。ただ、考えても考えても思い出せない。
その時、突然、冷蔵庫からブーンという音が響き、私はびくっと身体を揺らした。三つある部屋の窓はロックがかかっていただろうか?怖くてそれさえも確認することが出来ない。
「早く、来て!妹尾さん!!!」
私は、一人涙を流し続けていた。
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