第19話 涙目
「ご、ごめんなさい! 自分が情け無くなっちゃって……」
……私は急いで涙を手の甲で拭い、中山道さんと先生に謝った。
「ん? 情け無くなっちゃった?」……と、先生が近くのティッシュボックスを差し出しながら優しい声で仰った。
私が『
「お前、バカだなぁ〜〜」
なにぃ!?
兄貴が私を見下すような顔で言った。
いや、表情だけじゃない! 私に向かってはっきり「バカ」って言ったぁ〜〜(泣)
「
……横から先生が「遥くん……それは言い過ぎだけど、確かに妹さんが事も無げに『
「さあ、何はともあれ、一度皆さんの前で例のアレ、披露して差し上げろ」
兄貴がそう言いながらVRゴーグルを取り出した。
え〜〜〜〜〜!?
やだやだやだやだ!
これ以上、恥の上塗りはしたくない!
絶 対 嫌 だ !
私は「嫌だよ! なんて酷いこと言うの!?」と言いながら、涙目で兄貴を睨みつけた。
「まあまあ、先生たちへのお礼のつもりでやってみな!」
私は頑として拒否したかったが、時間もかなり遅くなったし、却ってご迷惑をお掛けしてしまうと思い、渋々ゴーグルを受け取った。
……目の前に敵のボス『テンタクル』がビートに合わせて身体を揺らしている。 何回観ても腹立たしい!
そしてテンタクルが八本の腕でスライムをこちらに向かって投げた!
……あー、やだやだ……。
また、一秒も経たずに『MISSON FAILED』が表示され、先生や中山道さん、そして兄貴に失笑されるんだ……。
あ〜あ……。 私は何の因果でこんな辱めを受けなくてはならないんだろう
……。
こんなことなら、やっぱりあのままふて寝していれば良かった……。
『♫パーパラッパッパ〜〜♫』
『MISSION COMPLEAT』
……ほら、やっぱりね……。
私は肩を落とし、ゴーグルを外した。
……?
先生たち、そして兄貴も、私に拍手している……?
……え? ま、まさか!
……私はもう一度ゴーグルをかけ直し、改めて表示されていた文字を読み直した。
『ミッション……コン……プリー……ㇳ……!?』
う……うそ……!?
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