第11話 絶句
先生は、私の
私は敵を斬った時、その痛みを自分の痛みのように感じて、知らず知らずのうちに躊躇してしまっていたんだ。
そんな私に、先生は次のようなアドバイスを下さった。
「元来……
先生は、私が感じていた『剣』の『苦痛を与える』イメージを『人を助ける』イメージに変えて下さったんだ!
先生……そして兄貴には感謝感謝です!
私たちは先生と
早速VRゴーグルを装着してプレイ!
……結果は……
兄貴でさえ超えられなかった『サーベルタイガー』の『HARD MODE』を難なくクリア出来るようになった!
か、感動〜〜(´;ω;`)ブワッ
これで大会当日まで猛練習すれば、もしかしたら……いや、ワンチャンeスポーツ大会で好成績を残せる……かも!
……翌日、意気揚々と出勤し、いつにも増して、張り切って仕事をしていると、事務長が血相を変えて検査室に飛び込んで来た!
「遥さん! ちょっ……」
『ちょっと』の『と』を言う前に、事務長は私の名札を握って引っ張り、そのまま院長室に駆け込んだ。
……院長室では、この前の面子……院長、看護部長、そして息を切らしている事務長が揃った。
皆さん、重苦しい表情をしている。
何!? 何があったの!?
「遥さん! 本当に申し訳ない!」……事務長が珍しく私に頭を下げた。 ……これは、
「例のeスポーツ大会の件ですが……」
……まあ、私が院長室に呼ばれるのは、当然その件でしょうね……。
「……もう……だいぶ練習してくれてる……よね……?」
「はい。 だいぶコツも掴めましたし……それなりに……」
院長と看護部長が無言で顔を見合わせている。
……事務長が更に続けて……
「当然『サーベルタイガー』の『サバイバルモード』で……練習しちゃってる……よね……?」
この前、兄貴もそんな事言ってたなぁ(『本章第8話 不安』をご参照下さいっ!)
「はい、確か……」
事務長がもう一度頭を下げて「本っ当に申し訳ない! 自分のミスだ! 実は大会で使用するモードが違ってたんだ!」と絞り出すような声で言った。
「……?」
「大会で使用するモードは『ビートモード』なんだ!」
へぇ〜……そうなんだ……。
で?
看護部長が……
「そうよね、遥さん『ゲームを知らない』って言ってたもんね……何言ってるか判らないわよね。 ……
「そ、そうですね。 では!」
……例のプロジェクターに映像が映し出された。
……ん?
いつもと背景が違う!?
このゲームのヒロイン『ファラウェイ』が登場し、こちらに向かってウインクした。 ……コスチュームは同じだが、表情や足取りが全く違う!
……しかも、持っているのが剣じゃ無い!
私が使っている『ネオンサーベル』とは明らかに異なる、カラフルなスティックを持っている。
しかも両手!?
次いでファラウェイの前に、カラフルなボーリングのレーン? みたいな台が迫り上がり、その
あんたはパリピかっ!?
軽快な音楽が流れ出し、ボスが八本の腕を使って、超高速でスライムを投げ始めた!
『危ない!
……と念じつつ固唾を飲んで見守っていると、ファラウェイが音楽に合わせてステップを踏み出した。
そして華麗に両手を広げると、スティックの先端が輝いて、某ガンダ○シリーズに出てくるビームの剣に変わり、目にも止まらぬ速さでスライムを斬り、切られたスライムは次々に消滅した。
……時折、スライムに混じってゴブリンが投げられるが、その時はビーム剣が瞬時にガンモード化? して撃ち落とされた。
……曲が終わると同時に点数が表示され、ファラウェイが満面の笑みで飛び跳ねた。 ……か、可愛い♡
凄かったあ〜〜! まさに
……ん? ……!
……ま、まさか……!?
「本番は……こっちだったんだよね……」
…… 絶 句 !
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