第5話 重大な理由……?
何人かの兵士は、
「くっ! て、手強い!」
敵の剣を避けたり『ねおん・さーべる』? で跳ね返したりしているが、これではキリが無い。
一体……どうすれば……?
『人差し指のスイッチを長押ししなさい!』……と、またどこからか声がした。
これ……かな?
ちょうど人差し指の位置にスイッチらしきものがあった。 それを暫く押したままにすると……
……!
剣が……銃? の形に変わった!
『それは『ネオン・サーベル・ガンモード』! それを敵に向け、人差し指のスイッチを連打せよ! 数に限りがあるものの、チュートリアルの敵をせん滅するには充分な筈だ!』
……今の説明の半分くらいはさっぱり意味不明だったが、とにかくこれを敵に向けてスイッチを押せば良いのねっ!
『ギュルルゥーーン!』……という大きな音と供に稲妻のような光が発射され、目の前の敵兵が一瞬で吹き飛んだ!
す……凄い!
これなら……勝てる!
スイッチを押すたびに轟音と閃光、そして手に痺れが伝わり、敵はみるみるうちにその数を減らした。
最後の一人、一回り大きな敵兵が迫って来る!
これで……この戦いを終わらせるっ!
「ロイヤル・ミルキー・ショーーーット!」
(↑アドリブ)
『カチッ』
……えっ?
『カチッ カチッ』
……あれ? 故障? 何も出ないよぉ~~(泣)
『EMPTY』という文字が表示された。 めくらめっぽうに撃ち過ぎちゃったんだ💦
最後の敵が剣を振り上げ、私に向かって振り下ろした!
「きゃあ~~~~~~!」
『ズバアァァ~~~~~!』
両手と頭が振動し、全身の力が抜けるのを感じた。
……寂しげな風の音と共に、目の前に文字が表示された……
『MISSON FAILED』 ……ミッション……失敗……。
私……死んじゃった( ノД`)シクシク
『パチパチパチパチ』
……!
拍手の音が聞こえ、耳元で『外すよ~』という、看護部長の声がした。
……ゴーグルを外すと、そこは元の院長室だった。
横には笑顔でゴーグルを持つ看護部長。 目の前には院長と事務長が、笑顔で拍手してくれていた。
そうか! さっきの声は……
アネモーニお母さま:看護部長
父王さま:院長
ウェルダン男爵:事務長
……だったのね。 どおりで『我が国』を『我が病院』と言い間違えていたわけだ。
机の上にはタブレットがあり、それで私の観ている映像を共有していたという。 『ミラーリング』って言うらしい。
……目の周りに違和感を感じて手をあてると『VR保護マスク』が汗でびしょびしょになっていた。 そうか、この為の『保護マスク』なのね……。
看護部長が「遥さんは、やっぱり素晴らしいわ~!」と言いながら、真新しいタオルを渡してくれた。
マスクを外して、汗を拭きながら「私……負けちゃったんですけど……」と言うと院長が……
「まず手始めに我々が必要なのは『eスポーツ大会』に参加できる選手だ。 このまま選手が見付からないと不戦敗になってしまうからね」……と言った。
「……この1週間、私たちは大会に出られそうな職員を必死になって探したのよ。 でもね……」
……と、看護部長が語り始めた。
……普通の『eスポーツ』のように、コントローラー操作だけの競技なら出場可能な職員がいたそうなのだが、今回の『サーベルタイガー』のようにVRで剣を振るったり、優雅に
更に、皆さんが口を揃えて「検査室の遥さんなら、以前『区民劇』で堂々と大立ち回りをしたから頼んでみたらどうでしょう?」……と仰ったんだそうな。
ほんっとにお恥ずかしい💦
「遥さんは、自分では『ゲームが苦手』と言っていたが、中々どうして素晴らしい腕前だったぞ! やはり役者よのう!」……と、院長が満足気に仰った。
「……いや……でも、あの……その……」
……何か反論しようとしたが『カモミーユ』が憑依(?)していたとは言え、実際に『ネオン・セイバー』で敵兵を斬り捨てた姿を見られてしまったので、ただただ口ごもってしまった。
院長が急に真顔になり「……実は、今回の大会は外せない
……?
「……実は……俺にとっては、これが最後の大会になるかも知れない……」
……!
……え?
……うそ……でしょ?
……院長先生が……辞める?
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