第10話 宣言

 華奢な深田先輩が、これ程の腕力を身に付けるのは並大抵の事では無かっただろう。 ……私は胸が熱くなるのを感じた。


 深田先輩の『ICLS』にかけた情熱……そして諦めざるを得なかった無念……それが私に伝播したんだ。


 私は思わず深田先輩の手を取って


「深田さん! 私、やります! 『ICLSインストラクター』目指します!」と宣言した!


 深田先輩が私の目を見つめ返した。


 ……その目は潤んでいる。 私の決意に感動してくれたんだろう。 


 ……? 


 深田先輩の表情が崩れた!?


「いてててて〜っ 遥! 痛い痛い!」


 ……! しまった! 思いのほか力が入ってしまったようだ!


「あ! す! すみません! 大丈夫ですか!?」


 深田先輩は苦笑いを浮かべ「う、うん……大丈夫、大丈夫」と言いながら自分で自分の手をさすった。


「……それにしても、遥は底知れぬ力を秘めているかも知れないね」


 そんなオーバーな〜 (〃∇〃)


「いや、オーバーなんかじゃない……さっき言ったろ? 『ICLS』に必要なのは『人命を救いたい』という『はがねの意思』……即ち、精神力をそのまま体力に転化出来るお前は、まさしく『ICLS』にうってつけだよ」


 ……こうして深田先輩の巧みな『飴とムチ』ならぬ『飴と』で、ますます『ICLS』への意欲を増していく私なのでした。

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