第13話 論点……が?

 そーゆーことか!


『……とても繊細な指の動きに、僕は見惚れてしまい……』


 ……って、ただの指フェチの変態さんかと思ったら、恐らく鈴森さんは『安西さん』が絵を描く所を見て、そのに見惚れた……って事なんだね。


 それにしても、あの鈴森さん……見た感じな~んの特徴も無いおじさんが、絵本なんて夢のある物を造る……とはね~。 ←失礼!


*****

 私は後日、患者様に検査の重要性を啓蒙するために『豆本』を作成することになるのだが(拙作『臨床検査技師の「はるか」です!』第4章 自殺企図……をご参照下さい)この時点では、日々の忙しさに追われ、それに加えて休日には『劇団あぐり』のお稽古があるので、絵やイラストは全く描いていなかった。

*****


『手作り絵本』かあ~!


 ……私は元々漫画家志望だったので、漫画を描くのがどれ程の重労働かを知っている。 ……なので、漫画制作には手を出さずにいた。


 しかし『絵本』を描く……しかも『手作り』となれば、気軽に試してみたい気になる! 


 加えて、安西さんという方が、鈴森さんにご興味があるかどうかも、直接会って偵察してみたい気もしてきた。


 よし! ここはひとつ……


『恋のお話からは少しれてしまい申し訳ありません。 『手作り絵本サークル』に所属されておられるとの事で、大変驚きました! 鈴森さんは絵やイラストも描かれるんですか? 実は、私は漫画家志望で、その夢は、まだ持ち続けております。 絵本と漫画とは根本的に異なるかも知れませんが、私個人として非常に興味を持ちました! 安西さんにも一度お会いしてみたいですし、もし鈴森さんがお宜しければ、一度そのサークルを見学させて戴く事は可能ですか?』


『え! 遥さん、演劇だけじゃなく、漫画も描くんですか!? 驚きです! 漫画が描けるなら難しい事は無いです。 是非、ご参加下さい! 次の金曜日はいかがですか? 遥さんに来て戴けるなら、願ったり叶ったりです! サークルの人たちに、連絡しておきますね!』


『金曜日は予定無いので、失礼で無ければお邪魔させて戴きたく、宜しくお願い致します』


 ちょっと楽しみ! 



 ……あれ? 論点……ズレてる……?

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