第12話『サークル』

『彼女がサークルに入って来たのは1ヶ月ほど前です。 彼女の口調や所作しょさ、更にとても繊細な指の動きに、僕は見惚れてしまい、やがて忘れられなくなりました。』


 わわっ! ちょっとキモっ! 指フェチってやつ!?


『先日、サークルの仲間と初めて出掛けました。 その時、例によって女性と話が出来ず、一人でいた僕に、彼女は色々と話しかけてくれました。 でも、ぼくは声が出せず、それを手紙に書いて渡そうとしたのです。 「僕、鈴森すずもり 駿太しゅんたは、町野中央病院に勤めています (ドクターではありません)……」』……等々などなど、その後は、他愛無い自己紹介だったようだ。


 ……あれはラブレターと言うより、質問に対する回答だったのね。


 ……私達は、鈴森さんが『女性が苦手』って知ってるし、それ以外は普通の人だって事 ←失礼 を判っているから良いけど、まだ知り合って1ヶ月しかってないとなると、手紙なんて渡されたら、引かれちゃうと思うなあ。


 ……そもそも、鈴森さんが所属しているサークルって、何のサークルなのかね?


『もう一つ質問させて下さい。 鈴森さんが所属しているサークルって、どんなサークルなんですか?』


 暫くして、返信が来た。


『僕が入っているのは『手作り絵本』のサークルです』


 えええええ〜〜〜〜〜〜!


 す、鈴森さん、絵本描いてるの〜〜!?

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