第3話 事情聴取

 3階の隅に、ちょっとしたロビーがあり、そこに二人の男性が座っていた。


「警視庁の本田です」「同じく石立です」……二人はそう言って、腰に付けた桜の代紋を見せてくれた! 格好良い〜!


 若い方の石立さん(キンプリの岸くん似)……が「検査室所属……の『はるか』さん……どういう字ですか?」


 おー! ドラマみたいに、本当に書類にペンを走らせている。


 私は、胸ポケットからメモ帳とペンを取り出し、『遥 真優』と書いて、岸くん……いや、石立さんに見せた。


 そんな感じで『じじょーちょーしゅ』が進む。 横にいる(恐らく石立さんの上司の)本田さん(カマキリ似←失礼)は、小さな声で、石立さんに何かを指導していた。


 次に『被害届け』の記載に移った。


「あの〜……ひとつお聴きしたいのですが……」


「はい?」「はい?」……2人が同時に反応した。


「……プリン、私が戴いたのは確かですが、買ったわけでは無いんですけど……それでも私が『ひがいとどけ』を出すんですか?」


 ……と、間抜けな質問をすると……


「『所有権』は遥さんに譲渡されていますし、何よりそれを証明する『名前を記載した付箋紙』を貼り付けてあった……と言う事実がありますからね」……と岸くん(←誤)が言うと、本田さんが「そもそも『遥さんの所有物だから窃盗された』可能性も否定出来ないので、面倒ですがご協力をお願いします」……と言って一礼した。


 ……あとから警察署に提出しても良いらしいのだが、持って行ってくれるそうなので、その場で書いて渡した。


 その後、今後の流れを説明されて、やっと開放されたが、小一時間かかった。


 朝から疲れた〜。



 検査室に戻ると、江藤さんが待っていてくれた……今日は明けなのに〜


「遥さん、ごめんね〜! 私がプリンなんてあげたから〜」


「とととと、とんでもないです! プリンに罪はありません!」


 深田先輩が「遥〜! そこは『江藤さんに』罪は無い! でしょ!」


 しまった! 失言!


「スミマセ〜ン! プリンを奪われたショックで!」……と言ったら、皆、爆笑した?

江藤さんに至っては、お腹を抱え、涙を流して笑っている。 私、何か変な事言っちゃったかな?


 キョトンとしている私にみやこ先輩が「遥ぁー、気にしないで良いのよぉー! 貴女あなたはそのままの食いしん坊でいてねぇー」と言って、また笑顔を浮かべた。


 ……確かに、検査室に戻ってから、私はプリンの事しか喋って無かった(汗)


 ……は、恥ずかしい!

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