第5章『プリン』

第1話『お主もワルよのう……』

 もうすっかりバレているが、私は自他共に認める『食いしんぼ』だ! 注:『坊』では無い ←ささやかな抵抗(謎)


 私は、職員の皆様から、戴き物をする事が多い。 ……そのかたが幸せな気持ちになるくらいに嬉しそうな顔をするんだそうな。(因みに、患者様からは物を頂戴してはならない規則になっている)


 先日は、美味しそうな『とろけるプリン』を、病棟クラークの『江藤』さんから戴いた。 ……プリンの上に生クリームが載っている、それはそれは美味しそうなプリンだ! ……母が良く買ってくる3個セットのプリンとは、申し訳無いが『格』が違う!


「ありがとうございます! 後でゆっくり戴いきま〜す!」とお礼を言うと、江藤さんが……


「……このプリン、1個しか無いのよ。 はるかさんの分だけだから、他の人には内緒よ!」……と言って、ワザと『時代劇の悪代官に袖の下を渡す商人』のように「クククッ」っと笑った。 私もつられて『お主もワルよのう……』的に「クククッ」っと笑い、その後二人で吹き出し笑いをした。


 ……そのプリンには『はるかのです!』……と付箋を貼って、病棟の冷蔵庫で冷やして貰っていた。




 ……そのプリンが……このあと、私が一生忘れる事の出来ない、大! 大! 大事件に発展してしまうのだった!

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