第12話『略 奪』
略……奪……?
……私に、そんな恐ろしい事ができる訳が無い!
そ、それに、そもそも『略奪』って、誰かから奪い取ること……でしょ!?
……奪い取る?
……!
……って事は……
……
……私は、はっしーに、ラインで真実を聴いた。
……要さんには、奥様と3人のお子様が居るそうだ。 ……今回の留学も、一番下のお子様が小学校に入学し、手が離れたので、育児を奥様に頼んで、留学を決断した……との事だった。
……私は、トイレで声が出ないように口を抑えながら嗤った! ……自分のバカさ加減を嗤い飛ばした!
ホント、ばかだ。 どうしょうもない……ばか!
……嗤った後、直ぐに嗚咽を上げて泣く……と思ったら、その後……涙は出なかった。 ……自分のばかさ加減に、自分で呆れてしまったんだと思う。
涙が止まれば、今がチャンスだ! 急いで鏡を見ながら化粧を直す。 ……眼が腫れてるけど……誤魔化すしか無い! これからは、要さんにはなんの興味も無い仮面を
……速足で、はっしーと要さんが座っている席に戻り……「すみません! ちょっと気分が悪くなっちゃって……」……と、モゴモゴと言い訳をした。
……かなりの時間中座していたが、さすが はっしー! 舌先三寸で時間繋ぎをしてくれていた。
要さんが「
そして……「俺の知り合いに、相方に逃げられた漫才師がいるんだけど、組む気ありません?」……と、本気ではっしーに聴いている。
当のはっしーは「私……まだ学生なので……」……と、丁重にお断りしていた。
……要さんの楽しそうな笑顔と、はっしーの照れた笑顔が何だか嬉しくて、3人で自撮り写真を撮りたい……と提案した。
……自撮りをしていたら、店員さんが気付いてくれて、とても素敵なカットを撮って下さった。
……この写真は、何年も経った今でもSDカードに残してある。 ……勿論、憧れの『アイドル』と記念撮影したのと同じ気持ちで……だ。
……こうして私の初恋は、とんだ茶番でおわったのです。
次回! いよいよ区民劇『カミツレのブーケ』! 本番当日です! 乞うご期待!
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