第10話『あなた』

 さて……ここで思い出して戴きたい。


 私は、前作『臨床検査技師の『はるか』です!』……のラストで『大林真也』とお見合いをして結婚するのだが、それまで男性とお付き合いした事は無かった。(前作、『臨床検査技師の『はるか』です!』『特別編 TB』第6話『別離……』を、ご参照下さい)


 ……って事はですよ! これから、恐らく悲し〜い別れが訪れるわけなんですね〜♫  ←から元気


 ……では、続きをご高覧下さい!




 かなめさんの車でファミレスに連れて来て貰った。


 日曜の昼……奥様の一週間の疲れを癒やしてあげるためか、家族連れが多い。


 ご夫婦の笑顔や、子供たちの騒ぎを見て、私は……ちょっと要さんと結ばれる妄想をした…………


*******


「ごめ〜〜ん! 遅くなっちゃったあ〜〜」


 ……「良いよ良いよ! お疲れさま」……秀逸しゅういつ(要さんの名前)さんはいつも優しい。


 ……「いーお、いーお、おちかれたま」……息子の秀次もパパの真似をした。可愛い♡


輸血検査クロスマッチで不規則性抗体が出ちゃって……って、二人ともまだ飲み物しか飲んでないの?」


「何言ってんだよ! 今日はまゆちゃんが主役なんだから、いくらでも待つさ〜」


「まちゅしゃ〜」……お、上手うまいね秀ちゃん!


 ……今日は私達の


 秀逸さんは、こうして記念日の度に、私を楽しませてくれる。


 ……とは言え私は、彼が私に色々企画したりプレゼントしたりしてくれるのを喜んでいる訳じゃない。


 ……私は、彼が私の喜ぶ顔を見るのが好きなのを知っているからだ。 ←結婚指輪の重み♡


******


かなめさま、3名さま〜」


「はい〜」


 ……! 


 その声で我に返った。


「どーした? まゆ……」はっしーが不思議そうにこちらを見て言った。


「いや……べ、別に何も……」


 ……要さんが先に行った席から私たちに手を降った。


 はっしーが「良さそうな人ね……」と、私に耳打ちして、ポンと私の背中を叩いた。


 私はちょっぴり嬉しくなった。


「……それにしても、まゆがあんなに演技が上手だったとは……驚いたなあ〜」……と、はっしーが褒めてくれた。


「遥さんは、世間擦せけんずれしていないから、お姫様役はバッチリはまり役だよ」……嫌ですわガーベラー! おほほほほ♡ ←今回♡多め!


 ……「遥さんが入ってくれたお陰で、憧れのガーベラーをれたし、本当に良い思い出が出来て……心から感謝してるんです!」


 ……え……?


 ……嫌な予感がして……心臓の鼓動が早くなった。 ……口の中が急に渇き、お水を含む。


「……思い……出?」


「俺……この講演が終わったら、留学するんです。 ニューヨークに!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る