第7話 初恋

 本番が近付き、練習にも熱が入って来た。


 ところが、困った事が起き始めている。


 私は、私のうしろにピッタリと寄り添い、私が危険になると華麗な剣さばきで敵をたおしてくれる『ガーベラー軍曹』こと『かなめ 秀逸しゅういつ』さんが気になって仕方がない……。


 自慢じゃ無いけど、私は今迄、お付き合いした男性はいない ←本当に自慢にならない


 いや、別に男性が嫌い……という事は無い……って言うより、むしろ男性キャラを描いたりするのは大好きだったりする。 


 彼氏が居ないのは、ただ単に機会が無かっただけなんだと思う。 ……いや、思いたい ←切実


 それにしても、家族以外で、こんなに近い距離に男性が居るのは、臨床検査技師の専門学校での実習以来だ。 しかも、実習はあくまでも勉強なので必死だったから、異性を意識している余裕なんて無かった。


 ……今回も『必死』ではあるが、その種類が違う。 何せ『カモミーユ姫』と『ガーベラー軍曹』は、身分の違いこそあるが、愛し合っているのだ。 見詰め合ったり、ギリギリのラインで擦れ違ったり……観客の皆様もドキドキさせる必要があるから、マジでヤバい距離感を保っている。 ……その上、要さんは美男子で、演技もうまい。 こんな良いオトコの、想いのこもった眼力のラブラブ光線を正面から送られて見なさいな!


 飛 ぶ ぞ!


 ……い、いかん! コーフンし過ぎた!


 と、とにかく、あの熱い視線を、男性に耐性の無い私が避けられる訳が無い! 


 私の心は、要さん一色に塗り替えられてしまった……。



 ……病院の昼休み、そんな話をはっしーにしたら……


 「やっちゃえ」


 ……と、一言で片付けられた。


 …………。




 相談相手を間違えたあ(泣)

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