第2話 初めての生理学的検査

『ピンポーン』……と、患者様が『生理検査室』に来た事を知らせるチャイムが鳴った。


 ……技師長が「じゃ、初心電図エーカーゲーはるかさん、やってみ。 少しったら見に行くから」


 あ〜、いよいよ緊張の、初めての心電図エーカーゲーだ……。 し、深呼吸、深呼吸!


「では、行って参ります!」……と検査室を出ようとしたら、深田先輩が……


「堅い、堅い! リラックス! あと、眉間のシワ!」


 ……はっ! まずい、軽い笑顔、笑顔!


 検査室を出て伝票ボックスから伝票を取る……と……


 「あ、超音波エコー検査ですね! こちらへ〜」


 ……ふう、良かった……超音波エコーは、まだ勉強中で、私には検査出来ない。  患者様を『超音波エコー室』にお連れしてお待ち頂き、急いで検査室に戻って、深田先輩と交代した。

 

 超音波エコー検査は、当然、学校の研修カリキュラムに含まれているものの、他の生理検査と異なり、特殊な知識と経験が必要となる検査だ。


 特に『探触子プローブ』と呼ばれる、ゼリーを塗って患者様に直接当てる部分の走査そうさ法が、難解なんかいきわまり無い! 『方向』や『角度』でかたが全く異なってしまう。  


『野菜』や『ソーセージ』を思い浮かべて頂きたい。たて・横・斜め……の切り方で、断面が、丸・四角・三角になったり、もっと複雑な形になる。 ……しかも『骨』や『空気(ガス)』は超音波エコーさえぎってしまうので、画面では、その下は全くえなくなってしまうので、角度を変えて観察しなくてはならない。 


 更に、臓器や血管は数ミリ単位で観察するので拡大して表示するので、そのぶん、ほんの少しれただけで大きくズレてしまうのだ。


 その上、見逃しがあったら、それこそ責任問題に発展する怖れもある、非常に難しい検査である。




 技師長が「エコーもやれるようにしないと……ね。 慌てる事は無いから、時間見て、職員のお腹借りて勉強してね」……と言った。


「はい! 頑張ります。 命賭けて!」


 技師長が苦笑しながら「いや、命は賭けなくて良いよ」


 ……と言ってくれた。

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