第3章『生理学的検査』

第1話 発表

 あっと言う間に、国家試験の結果発表日が来た。


 私は……ご! 合格!


 やった! やった! やったぁ〜!


 良かった……結果が出るまで、人事課長に会う度に……「きみはまだ『ケンサギシ検査技師』になれない『サギシ詐欺師』だから、早く合格の報が聴きたいよ」と言うオヤジギャグを聴かされていたが、これでやっと、開放される! ……と、本来の意図からズレた所で喜びを噛み締めていた。


 ……今日から、いよいよ患者様の『生理学的検査』が行える!


 『血液検査』や『尿検査』のように、患者様から採取した検体を検査するのは、実は無資格者でも出来る。検査室に一人でも『臨床検査技師』が居て、『医師の具体的な指示』さてあれば、その辺にいる人に頼んでやって貰う事も可能だ。(実際はそんな事はしませんが……。)


 但し『生理学的検査』……レントゲン以外の、患者様に直接機械を使って行う検査……と『検体採取業務』……採血等の、患者様から検体を採取する業務……は『臨床検査技師』『看護師』『医師』にしか行えないので、必ず『臨床検査技師』の資格が不可欠となるんだ。


 ……ここから問題になってくるのは、技師個人個人の『資質』だ。


 病院に勤めているからには、患者様とのコミュニケーションが必要ではあるが、私は人見知りな性格なので、ガッチガチに緊張してしまう。


 『だったら、最初から検査センターに就職すれば良かったのに……』と仰るかたられるでしょう。


 本当に、その通りだった……。

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