第26話 悩んだあげく
『ふーん』
「なんだよそれ」
俺は
『君はモテるね』
「違うね」
『謙遜しなくても』
「お前の目は節穴だな」
『めっそうもない、見る目はある方だよ』
全く、林と話すと前に進みにくい。
ふざけないでくれ。
『さて、どうしたいの?』
「ん?」
『だから、君はどうしたいの?』
どう、したい、か・・・。
『
それは・・・。
『君には、君の心には、一体誰がいるんだ?』
改めて聞かれた。
浮かぶのはいつも・・・。
『それを伝えたらどうかな?』
見透かされてる・・・参ったな。
「ありがとな、林」
『お役に立てたなら光栄だよ』
「たまにはな」
『たまに、は余計だね』
2人して笑い合った。
※
俺の中にはまだあの初恋の女の子がいる。
色褪せる事のない、大切な大切な人。
だから俺はその事を女子3人に送った。
これで俺は全員振る事になる。
やっぱり、良い友達、良い後輩、良い先輩、でいて欲しい。
そう願って、とある準備を始める事にした。
※
そうだったんだ・・・
メッセージを読んでショックを受ける私、冴木
もう届かない・・・ダメなんだ・・・。
初恋には、勝てない・・・。
ベッドの上で膝を抱えて、顔を埋めて泣いた。
※
これは・・・
先輩、本当に全員振ったのかもしれない。
そう、確信した私、水上
冷静に受け止める自分自身に驚く。
こうなったら、仕方がないなぁ・・・。
ポロッ・・・あれ?何で?
溢れた涙が、私の感情を爆発するように、止めどなく流れた。
※
驚く私、門倉
これは・・・無理だな・・・
ふと、外の様子を窓越しに見る。
空は青く晴れ渡り、本当に冬なのか疑った。
どこか、吹っ切れた・・・。
告白したあの日、たくさん泣いたからかな?
良かった、彼を好きになって・・・。
※
1人寂しくブランコに乗って、力なくこいでいた私。
その時に出会ったあの男の子。
あの男の子との時間は掛け替えのない時間で、ずっとこのまま時が止まれば良いのにと思った。
でも、私は遠くから帰省していた為、帰らなければならない。
それが悲しかった。
今、どうしてるかな?
会いたいな・・・。
でも、私は好きな人が出来た。
君に雰囲気が似ている男の子。
でも、その人は他に好きな人がいるらしく、振られてしまった。
はぁ・・・溜め息を1つ。
あの思い出の場所に行けば、今なら会えるかな?
そうしたら、いっぱい愚痴を聞いてもらって、慰めてもらおう。
よし、決めた。
私は気持ちを切り替えて、出掛ける準備を始めた。
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