第23話 今年度の締め

 生徒会の引き継ぎが終わり、今生徒会室には、俺と門倉かどくら先輩と三葉みつば先輩とはやししかいない。

土谷つちや先生と校長先生の許可を得て、今日は19時までここで打ち上げしても良いとの事だ!」

 音頭を取る門倉先輩。

「うむっ、頼もしい新役員にわれは安心している!」

 そう言って貰えて助かる。

「では、新生徒会の安泰と我ら旧生徒会の今までの頑張りに!」

「「「「かんぱーい!!!!」」」」

 打ち上げ、スタートです。


 各自持参したお菓子を食べつつ、談笑がおおいに盛り上がった。

 これで、この4人で集まるのは最後となる。



 あっという間に時間は過ぎ、最後に土谷先生が顔を出した。

 すると門倉先輩と三葉先輩は土谷先生に感謝の言葉を述べて、長方形のラッピングされた箱をプレゼントした。

 中身は、万年筆擬き、と2人は言った。

 それでも先生は嬉しかったのか、何度もありがとうと言っていた。

 こうして打ち上げは終わった。

 後片付けをして、荷物をまとめて、生徒会室を出た。

 校門に着くと、林と三葉先輩は仲睦まじく帰り、俺は門倉先輩を送る為に一緒に帰っている。

「今日は楽しかったな」

「楽しかったですね」

「最後・・・だな」

 ずしりと門倉先輩の言葉がのし掛かる。

 本当に3学期はめったに会えなくなるんだな。

「たまに見掛けたら声をかける」

「俺もそうします」

 いつでも会える当たり前が、もうなくなってしまうのか。

「今生の別れのような顔をするな!」

 思い切り背中を叩かれた。

「痛いっす」

「君には丁度良いではないか!」

 ニッと笑う先輩。

 この笑顔に何度救われた事やら。

「なぁ、良いか?」

「何がです?」

 すると横にいた門倉先輩は俺の目の前に立った。

 俯く先輩。なんだか、いじらしく見える。

 俺は急かさず待つ。

 数分後、ようやく先輩は顔を上げて突然の事が起こった。


「好き」


 えっ・・・


 頭が真っ白になる。


「返事、待ってる」


 鼓動が早くなる。


「じゃあ、また、ね」


 手を力なく小さく振ってから、先輩は足早に帰宅したのだった。


 立ち尽くす俺は、雪がチラチラと降ってきている事に気付いていない。


 告白・・・されるなんて、思わなかった。



 ついに伝えた、自分の気持ち。

 これで良い・・・。

 あとは、待つだけ。

 成就してもフラれても、どちらでもいい。

 天命を待つではないが、待つしかない。


 私、門倉 かえでは部屋で、声を殺して泣いた。

 とてつもなく、涙が流れて、止まらないから、泣き止むまで、泣き続けた。

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