第16話 2学期初日

 楽しかった夏休みは風のように過ぎ去り、2学期初日を迎えた。

「おはよう」

「おはよう冴木さえき

 まず、冴木。

 髪が伸びたからなのか、纏めて結っていた。

 なんだか新鮮である。

「夏休み、楽しかったね」

「そうだな」

 本当に楽しかった、あの夏。

「今日から2学期、頑張るよ?」

「あぁ」

 そうだった、忘れていた。

「忘れないでよ、選挙」

「すまん」

 果たして本当に、大丈夫だろうか。

 不安しかない今日この頃。



「あー!せんぱーい!」

 この声は水上みなかみ・・・えっ?

 後輩よ、どうしたんだ?

「水上、だよな?」

「はい、そです♪」

 トレードマークのポニーテールが、サイドテールになっていた。

 ちょっと大人っぽく見える。

「似合いますか?」

 上目遣いで聞いてくる水上。

 おっと・・・なんと、可愛い、と思ってしまった。

「似合ってる」

 俺、頑張って言えたな。

「ふふ、嬉しいです!」

 太陽に負けないその笑顔、凄く良いな。



「失礼しまーす」

「お久しぶり♪」

 副会長の三葉みつば先輩が出迎えてくれた。

 と言うわけで、放課後の生徒会室に来た。

「あれ、門倉かどくら先輩は?」

「あー、待っててね。かえでちゃーん、いい加減に出てきてー」

 どうやら隣の備品室に居るようだが、隠れてるのか?何故に?

「ごめんなさいね、今引っ張るからね」

 無理矢理はダメでしょ、無理矢理は。

「楓ちゃんってば!」

「だってだって!」

 駄々をこねとる、珍しい。

「騒がしいね」

はやし、よっ」

 林も来た。遅いぞ。

「何かあった?」

「会長が引きこもってるから、今副会長が・・・あっ」

「やっと出た!困らせないで!」

「うぅっ・・・」

 三葉先輩が門倉先輩の背中を押しながらようやく出てきた2人。

「あらまぁ~、そゆことか~」

 林、ニヤニヤするな。

「ほら、可愛いでしょ?」

 三葉先輩はニコニコと門倉先輩を褒める。

 門倉先輩、イメチェンしていた。

 ショートヘアになっていたのだ。

 顔を真っ赤にして俯いている。

「ほら、言ってやれよ」

 小声で林が俺に言った。

 意を決して一言。

「門倉先輩、似合ってますよ」

「えっ、ほんとか?」

 ようやく顔を上げた。

 なんか泣いてる。

「私、ずっと伸ばしてたから、似合わなかったらどうしようって思って不安で・・・」

「大丈夫、似合ってますから」

 そう、本当に似合っていた。

 髪を切っても、美人度は下がっていない。

「ありがとう、安心した」

 ようやく落ち着きを戻した門倉先輩だった。

 遠くで見守っていた三葉先輩と林は2人してクスクス笑っていた。

 何故に笑う?


 こんな感じで、2学期初日は終わった。

 楽しい行事が盛り沢山だ、突っ走るぞ。

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