第16話 2学期初日
楽しかった夏休みは風のように過ぎ去り、2学期初日を迎えた。
「おはよう」
「おはよう
まず、冴木。
髪が伸びたからなのか、纏めて結っていた。
なんだか新鮮である。
「夏休み、楽しかったね」
「そうだな」
本当に楽しかった、あの夏。
「今日から2学期、頑張るよ?」
「あぁ」
そうだった、忘れていた。
「忘れないでよ、選挙」
「すまん」
果たして本当に、大丈夫だろうか。
不安しかない今日この頃。
※
「あー!せんぱーい!」
この声は
後輩よ、どうしたんだ?
「水上、だよな?」
「はい、そです♪」
トレードマークのポニーテールが、サイドテールになっていた。
ちょっと大人っぽく見える。
「似合いますか?」
上目遣いで聞いてくる水上。
おっと・・・なんと、可愛い、と思ってしまった。
「似合ってる」
俺、頑張って言えたな。
「ふふ、嬉しいです!」
太陽に負けないその笑顔、凄く良いな。
※
「失礼しまーす」
「お久しぶり♪」
副会長の
と言うわけで、放課後の生徒会室に来た。
「あれ、
「あー、待っててね。
どうやら隣の備品室に居るようだが、隠れてるのか?何故に?
「ごめんなさいね、今引っ張るからね」
無理矢理はダメでしょ、無理矢理は。
「楓ちゃんってば!」
「だってだって!」
駄々をこねとる、珍しい。
「騒がしいね」
「
林も来た。遅いぞ。
「何かあった?」
「会長が引きこもってるから、今副会長が・・・あっ」
「やっと出た!困らせないで!」
「うぅっ・・・」
三葉先輩が門倉先輩の背中を押しながらようやく出てきた2人。
「あらまぁ~、そゆことか~」
林、ニヤニヤするな。
「ほら、可愛いでしょ?」
三葉先輩はニコニコと門倉先輩を褒める。
門倉先輩、イメチェンしていた。
ショートヘアになっていたのだ。
顔を真っ赤にして俯いている。
「ほら、言ってやれよ」
小声で林が俺に言った。
意を決して一言。
「門倉先輩、似合ってますよ」
「えっ、ほんとか?」
ようやく顔を上げた。
なんか泣いてる。
「私、ずっと伸ばしてたから、似合わなかったらどうしようって思って不安で・・・」
「大丈夫、似合ってますから」
そう、本当に似合っていた。
髪を切っても、美人度は下がっていない。
「ありがとう、安心した」
ようやく落ち着きを戻した門倉先輩だった。
遠くで見守っていた三葉先輩と林は2人してクスクス笑っていた。
何故に笑う?
こんな感じで、2学期初日は終わった。
楽しい行事が盛り沢山だ、突っ走るぞ。
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