第14話 門倉楓との会話

「すまぬ・・・」

「大人しくして下さい」

 俺は門倉かどくら先輩の家にて、先輩を看病している。

 熱を出したとの事で、俺は駆け付けた次第。

「はい、おかゆ出来ました」

「ありがとう・・・ゴホゴホッ」

 全く・・・2学期に向けての生徒会準備を、1人でやっていたお陰で体を壊すという。

「食べさせましょうか?」

われはそんなに弱くない」

 先輩は体を起こして、テーブルに置かれたおかゆをレンゲで掬って食べた。

「塩加減が良いな、美味い」

「梅干しあるんで」

「おっ、本当だ」

 梅干しも食べた先輩。

 1人暮らしとはいえ、女の子の部屋は初めてで緊張している。

「簡素ですね」

「物はなるべく置かない主義さ」

 なんか分かるなー。

 机と椅子、本棚に収納ボックスが3つ。

 あとは布団と目覚まし時計。

「なんか置いてるのが、必要最低限って良いですね」

「君の部屋はどうなんだ?」

「汚いかと・・・最近散乱していますからプリントとか」

「元気になったら片付けに行ってやる」

 本気の目が俺を射抜く。

「それは有難い」

「やましいの、ないのか?」

「ないですね」

 やましい本やDVDなど持ってない。

「つまらん」

 ジト目で言う先輩。

「はい?」

「健全に生きろ」

「先輩の方がヤバい」

 一体、何に期待しているんだか。



「あと何かやって欲しい事はありませんか?」

「特にないな」

「では帰りますね」

「今日は本当にありがとう、助かった」

 夕方になる頃には熱はすっかり下がった。

「今後は無理しないように、これは俺がやっときますね」

「すまぬな・・・」

「この資料くらい、ちゃちゃっと出来ますから」

「優秀な後輩がいて助かる助かる」

「優秀ですかねぇ」

 暗くなってきたし、さっさと帰ろう。

「それじゃ、また」

「待て」

 ん?

「その、1つだけなんだが・・・」

 何だろう?


「祭りの日、誰かと一緒?」


 あっ・・・


「はい」


 正直に


「そっか・・・」


 がっかりさせちまった・・・


 俺は先輩の顔を見ないように部屋を出た。



 そっか・・・そうだよね・・・。

 膝を抱えてじんわり出る涙を止めようと、顔を埋めた私、門倉かどくらかえで

 きっと、冴木さえきさんか水上みなかみさんのどちらかとだろう。

 先を越された、悔しい・・・。

 どうすることも出来ない。

 邪魔をしたら、最低だ。


 はぁ・・・一緒に行きたかったな・・・。

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