第7話 大変だな
大きなイベントが控えていた。
生徒総会である。
先日資料をまとめたから、後は配るのみとなっている。
今回の生徒総会は各委員会について、今年度はどのような活動をするのか、重要事項などを委員長が発表し質疑応答をする。
最後に生徒会長が総括して終了となる。
3学期に2回目の生徒総会を行い、今年度の各委員会の活動報告をして、生徒全員は改善点要望等があればアンケート用紙に記入し、箱に入れていく。
最後に生徒会長が総括して終了。
今、頭に過った。
自分が会長という役職に就いたら、という想像。
やはり、断ろうか。
無理だ、俺には。
学校の頂点というより、2番手の副会長か今のポジションである書記が良い。
先頭に立つ器は他にいるはずだ。
何故、先輩は俺に拘るのか?
きちんと聞いておかなければならない。
2学期の後半に生徒会選挙が控えてあるから、それまでに必ず。
そんな事をうんうん考えながら作業をしていた俺。
相変わらず会長様は椅子に座ってまったりモード。
「
「おお!すまない、ありがとう!」
あー、甘やかさないで副会長!
会長にお茶を淹れて持ってきたのは、副会長の3年生・
「はい、お茶どうぞぉ」
「あー、ありがとうございます」
セミロングがふんわりしていて、低身長のわりに胸が大きい。
すみません、この先輩と初対面した時、最初に目がいったのは胸だった事は許してくれ。
ふわふわな雰囲気で可愛らしい感じの、あざといを知ってるのか知らないのか?
天然かわざとか?判断のつかない先輩である。
三葉先輩の淹れるお茶は本当に美味しい。
紅茶でも美味しいため、料理は得意な方なのかなと思っている。
こんな可愛い人が料理上手だとポイント高いし、甘えさせてくれるなら、もう後戻りは出来んな。
って変な事は頭から追い出すためにぶんぶんと首をふり冷静になる。
男は俺の他に会計の
そんな林は部活でいない、どうでもいい時にいて、肝心な時にいない事は毎回不満だが。
自分の仕事はきっちり済ましてあるから憎めない。
良いヤツだし、まあいっか。
「今回の生徒総会はどんな感じになるかなぁ?」
三葉先輩は会長に質問をした。
「そうだなぁ・・・」
資料を眺めて会長は唸り出す。
「ふむっ・・・荒れる可能性は無きにしもあらずだな」
「「えっ?」」
俺と三葉先輩の声が重なった。
数年に1回、必ず荒れる年があるとは聞いていたが、まさかの今年にぶち当たる可能性って・・・。
「風紀の所が気になる。例年に比べて厳しいからな」
風紀委員会の活動内容が例年に比べて厳しいって?
「どういうことぉ?」
小首を傾げて問う三葉先輩。
「資料を見れ、分かるはずだ」
それだけ言って、椅子をクルッと回転させて窓の外を眺め始めた。
背中だけで伝わる、ちょっとした緊迫感。
会長が窓の外を眺め始めたら、話しかけない、が暗黙のルール。
「お茶片付けたら帰るけど良い?」
小声で話しかけてきた三葉先輩。
ダメだ、甘い匂いが鼻孔をくすぐり、思考が止まりそうになる。
「はい、大丈夫です」
なんとか踏ん張る俺。
「ありがとう、後は楓ちゃんの事よろしくね♪」
「承知しました」
なら大丈夫かーと油断していたら、耳元で一言囁かれた。
「生徒会長、なってよね?」
ビクッ!背中に何かゾワゾワッとした感覚が襲ってきた。
「ふふ♪」
時々、超恐くなる三葉先輩であった。
勘弁してくれ。
※
会長を放って置けないので黙って待つ事1時間は経過していた。
辺りは陽が沈みかけていて暗くなりそうだ。
その頃にようやく俺の方にクルッと椅子が回転した。
先輩と目が合った。
「さて、帰るか」
「はい」
何か良い案が浮かんだのか、スッキリした顔になっている。
「鍵はあるか?」
「ありますよ」
生徒会室の最終確認をしてから出た。
鍵を閉めた所で。
「今日はラーメン屋に行かないか?」
「寄り道ですか?」
「良いじゃないか!」
「良いですよ」
2人でラーメン屋に寄る事になった。
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