第5話 ご機嫌斜めからの

 今日の放課後は各委員会の話し合い。

 と言っても、初顔合わせであるから、そんなに話す事はない。

 そんな中、生徒会は特にメンバーは変わらない。

 ただ、各クラスの委員長と副委員長を交えてなので人数が多くてしんどい。

 話し合いの内容、発言の全てを記録していく。

 黒板担当は会計の2年生で、隣のクラスのはやしがやってくれるので良いが。

 耳で聞いてパソコンで同時にカタカタやる俺は、疲れる。

 終わる頃には死んだ顔になっている。

 つまり“どよーん”だ。


 そして今、生徒会が終わりパソコンのスイッチをオフにしたと同時に暗くなった俺。

「お疲れさん、君は働き者でわれは大変助かる」

「先輩・・・代わって欲しいです」

「我はパソコン苦手だ」

「嘘」

「めんどう事は誰かに任せる、我の流儀」

「そんな流儀、捨てて下さい」

 溜め息を吐く。勘弁してくれ。

「ところで」

 今度は何だ?

「この前、可愛いお嬢ちゃんと帰っていたが?」

「はい」

「彼女か?」

「違いますよ、同じ中学の後輩です」

「ほぉ」

 ジトーっと、疑うような目をしないで欲しいんたが。

「先輩、どうかしましたか?」

「別に」

 そっぽを向かれた。

「先輩?」

「話しかけるな」

 おいおい、へそ曲げる事ないだろう。

 しばらく様子を見るように、書類をまとめる作業に取り掛かった。



「終わりました」

「ありがとう」

 黙って作業しながら様子を見たら、機嫌は直っていた。

「君」

「はい」

「次の日曜、会わないか?」

「はい?」

 突然どうした先輩。

「嫌なのか?」

 不安そうな顔をする先輩。

 そんな顔されたら、行かざるを得ないではないか。

「いやいや、大丈夫ですよ」

「そうか!」

 嬉しそうな顔をした先輩。可愛いとこあるじゃん。

「では日曜に!また連絡する!さらばじゃ!」

 スキップしながら生徒会室を出て行った。

「一体どこに連れて行かれるのやら」

 それでも俺も少し浮き足立つような、ワクワクしていて、楽しみになっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る