第4話 ある日の事
自分の部屋でゆっくりしながら、今日の
『好きな人、気になる人、いませんか?』
それに対して俺は『いる、気になる人』と言った。
でも、その気になる人よりも、俺は小さい頃に1度だけ出会ったあの子が、初恋の女の子が忘れられない。
「元気かな・・・」
※
数日間、雨の日が続いたある日。
久しぶりの晴れに浮かれて外に出た。
小学生だった俺は真っ直ぐ公園に向かって走った。
公園に辿り着くと、ブランコに乗って遊ぶ女の子が1人いた。
白いワンピースに、似合わない黒のキャップ。
伸ばした髪はブランコをこぐ度にふんわりと靡いていた。
俺はその子に声をかけた。
「君はどこから来たの?」
女の子はびっくりして大きく目を開けて俺を見た。
「・・・遠く、から」
どのくらい遠いのかは分からないが、子供ながらに納得する。
「ねえ、一緒に遊ぼ!」
誰とも約束していなかったから、この子と一緒にと思った。
すると女の子は頷いた。
ブランコで立ちこぎ、女の子は座ったまま、遠くに飛ぶ競争をした。
その後は砂場で訳も分からず穴を掘ったり、城を作ってみたり。
滑り台で何度も滑り、シーソーで遊び。
一通り公園にある遊具を制覇した。
最後は疲れたので山のような形の上でゆっくりする事にした。
この山のような形は、傾斜の所にはいくつか石がめり込まれていて、それを階段のように使って登る。
上は平らになっている。
この山のような形には穴があって、声を出すとよく響く。
「一緒に遊んでくれてありがとう」
「うん、楽しかった」
遊んでいる内に打ち解けたようだ。
「あっ」
女の子の服にはほんのり砂がついていて、くすんでしまっていた。
「服、汚れたね」
「大丈夫、洗えば落ちるよ」
女の子は心配かけまいと笑顔で言った。
「明日もここにいる?」
すると女の子はシュンとして、首を横に振った。
「帰るの」
「そうなんだ・・・」
俺もシュンとなる。
せっかく会えたのに。
「またいつか、ここで会おう」
シュンとなった君はどこへやら。
「うん、約束!」
2人で指切りげんまんをした。
「ところで、名前は?」
「私の名前はー・・・」
※
「はぁ・・・」
俺は溜め息を吐いて、ベッドに寝転がる。
すると、直ぐにうとうとし始めて、夢の中へ入ってしまった。
あの女の子とまた会えるかな・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます