第5話 ブルーライト
頭が痛い。ここはどこだ。お昼に行った大型ショッピングモールの近くの大通りのようだ。手には生暖かい液体が付着している。目の前には腹部から液体がでている女性が横たわっている。これは血液だろうか。頭の中に誰かの声が響く。めまいや耳鳴り、他にも警察のサイレン、救急車の音。全てが不快だ。何なんだこの状況。さっきまでみんなと食事をしていて、それから、それから.. パニックで頭が回らない。
何が起こってるのが理解できない。事故現場なのだろうか。理解に追いつかない。
俺が抱えているこの女性は誰なんだ。そっと顔を覗いてみる..
目が覚めた。夢だったようだ。悪夢だ。あの光景は過去の記憶なのか。体がだるい。隣には芽衣が眠っている。悪夢でうなされているのを心配して手を握ってくれていたようだ。彼女を起こさないようにそっと起きて冷蔵庫へと向かう。冷えた水を取り出し一気に飲み干す。明日は休日だ。樹に過去に事件があったか聞いてみよう。
◇◇◇
樹と二人きりになれる瞬間になったので聞いてみる。
「樹、俺が事故にあったとき俺の他に被害者はいなかったのか?」
「あぁ、いたぞ。大学が同じ
「俺は良く知らないな。事故があってから彼女の名前をしったからな。」
樹は詳しくは知らないのか。渡辺由紀についてはこれ以上調べることはできなさそうだ。自分で思い出すまで待つか。
一週間がたった。みんなで昼食を食べていると長谷川さんが話始める。
「みんなで旅行とか行きませんか?京都とか..」
「いいな!行こう!」
身を乗り出して樹は賛成する。みんなも快く快諾した。
「京都に一度も行ったことないから楽しみだわ。」
いつもクールな木村もテンションが上がっている。
「日程とか詳しいことを決めていこう。」
みんなで雑誌を広げ旅行先の宿泊する旅館や観光する場所を決めていく。旅行の予定を決めるのは楽しい。これも一つの醍醐味だと思う。みんな思い思いに行き先を提案していく。俺は決まったところについていくので提案はしない。ただめんどくさいだけだ。
三日前に聞いた話だが、木村は俺がこの前入院した病院で働いているナースをしている。彼女が樹に俺が目覚めたことを連絡したらしい。悠斗は近くの和食のお店を経営している。たまに彼の作った料理を食べるがたまらなくおいしい。彼のお店に飾ってあった集合写真にはわかかれし樹や俺、木村が写っている。大学の中の良いメンバーで撮った写真だ。隣の写真は二歳か三歳くらいの芽衣と悠斗と木村が仲良くピースしている写真がある。彼らは幼馴染なのだという。
二週間後。旅行の行く日となった。全員楽しみにしていたので朝からテンションが高い。二泊三日の京都旅行。みんなとの距離もより縮められそうだ。
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