閑話 兄は妹の為にできることをするそうです


 昔、本当に昔のことだ。

 妹のシャルに泣きつかれたことがあった。

 末娘で何かとちやほやされるはずのシャルは、あまりわがままもグズりもしない子だった。

 まどちらかと言えば、エナの方がわがまま娘だった。

 まぁそんなシャルが、めちゃくちゃ泣いたことがあった。


「おに...ちゃん..。」


「ん?えっあぁどうしたんだ?こんなに泣いて。」


「あのね...ひっく..あの....私の髪の毛変??」


「髪の毛?」


 あぁそういう事か、シャルの髪の毛は真っ黒なものだった。俺もエナも父さんの髪の毛と同じ茶髪だった。母さんも今は髪色を変えてしまって同じく茶髪だが、元の色は薄桃色だ。


「全然変じゃないし、シャルの髪は誰よりも美しいよ。」


 これは嘘じゃない。シャルはそこら辺にいる女の子の比ではないくらい髪の毛だけじゃなく容姿も恵まれていた。

 てか言っちゃ悪いけど、うちの家族巷で話題になるぐらい美形家族だからな〜


「ほんと...に...でも、私みたいな髪の毛見たことないよ...。」


「あー」


 仕方ない...


「スィーピア...ほらっお兄ちゃんの髪の毛も同じだろっ。」


 母さんの使役精霊を使って髪の毛を黒髪変えて、俺はシャルの頭を撫でた。


「...う..ん。」


「よしっじゃあ買い物行くか?」


「うん!!」


 俺たちは手を繋いで外へ出た。




「買い物行くぞシャルねぇちゃん!!」


「ちょっと待ってって...」


「あ〜もう良いもん売れちまうだろ急ぐぞ!!」


「えっちょカリー!!」


 俺はシャルの手を繋いで走り出した。

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