閑話 神様は社畜だそうです
皆さんは、神は気まぐれだの。と言ってくれたものだ。しかし、、、
「こっちの身にもなって欲しいよぉ〜」
白を基調とした空間の中、その白ずくめにそぐわない顔をしたものがいた。疲労がにじみ出るその顔。誰があのハイルツェン王国の創造主が一人、光の女神レダ・アラクネと思うか。
こんな事になったのはもう何年前の事だったか…
「神話と呼ばれているあの本が、全て事実だなんて誰も思わないんだろうな〜てか事実はもっと残酷なものだったし…それにしても、平和になったもんだよね〜まぁ苦しんでる子もいるけど...」
彼女は少し、下の様子を眺めた。
上の命令で光の巫女を下したものの、その影響で苦しんでいる子がいるようだった。
「...まぁ大丈夫だよね。よし!!仕事しなきゃ」
流石に私の子孫もそこまで馬鹿じゃないだろうと自分に言い聞かせたレダ・アラクネは目の前の大量の書類に目を通した。
一数年後一
「はぁ〜疲れた今日の仕事はお終い...さて今日はどんな感じかなぁー」
レダ・アラクネは最後の書類い終わると、下の様子を観察した。
今まで彼女は、そんなことしたことがなかったが、最近は下の様子を見るために大量の仕事を頑張るほど、楽しみになっている。
「はぁああ!?!?なんでそうなんのよ!!」
今日は普段より格別に驚くべきことが起きた。
「シャルちゃん、かわいそう...」
そう、ずっと応援してきたシャロル・エト・ヴァンビルゼが皇太子エリオット・ウィル・ハイルツェンに婚約破棄されたのだった。
『しかし、わたくしは間違ったことなど何もしていませんわ!!ですので、謝罪なんてしないっ私と婚約破棄したこと一生の恥としなさい!!』
「かっこいい!!シャルちゃん流石〜!!そうね、シャルちゃんは間違ってなんかいないわ!あんのバカ、子孫としては恥ずかしいわー」
その後も、シャロル・エト・ヴァンビルゼの生涯を見て、不幸なことがある度に、自分の子孫であるエリオット・ウィル・ハイルツェンの悪口を叩いていた。
そしてその時は来た。
「...ぐっすん...ううぅ..シャルちゃん死なないでぇー...」
暗い部屋、誰にも見られず、シャロルは亡くなった。23歳、とても若い死だった。
「...いや...嫌。このままシャルちゃんが死ぬなんてっ!!.......嫌だよ。、シャルちゃん。今から助けるから!!」
その言葉と共にレダ・アラクネは光を放った。日の光のように暖かくも、その輝きは畏怖の念を抱かせる。背からは大地を包むような大翼を羽ばたかせた。
その姿はまさに神と呼ぶに相応しい姿だった。
《神権、権限発動。我、光の女神レダ・アラクネの名の元、時空感傷を開始。》
今までとは全く違った口調で淡々と言った。
《【問】其れは汝の指名か。【否】汝、感傷無用。【警告】人の子への感傷は規約違反としている。》
どこからか別の声が聞こえ、レダ・アラクネは体を強ばらせた。否、その声で動けなくなっていた。
《我...名の元...時空感傷..を。》
それでもレダ・アラクネは口だけを動かした。
《【警告】汝、規約違反を犯している。これ以上の感傷は謹慎を下す。》
《.......時空...感傷......を》
それでもレダ・アラクネは、いい続けようとする。
《無駄。........何?》
感情のない声に少し焦りを見せた。
途端、そのレダ・アラクネの部屋である、白を基調とした空間はガラスのように砕け散り、真っ暗な空間が生まれた。
もう邪魔者は誰もいない。
《......神権、権限発動。我、運命の女神エトの名の元、時空感傷を開始。》
エトの声だけが、その暗闇に響いた。
.......
....
..
「ここは...」
輝かしい太陽と風に揺れる草花の野原が広がっていた。
そこに立つ、一柱と一人。
「あなたは...だれ?」
一人は、オドオドしく聞いた。
「私はレ...いいえ。エトよ。」
一柱はそう答え、一人を抱きしめた。
ただ見ていることしか出来なかった一柱は、今時空に感傷し、最愛の一人を救う。
「君は生きろ...」
不意にそう言われたことを思い出した。
果たして、一柱にそう言ったのは誰であったか。もう昔の事過ぎて忘れてしまった。
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