第七話
「なぁー、俺ら騙されてんじゃねぇー。クロードに」
と、リュドが不信感を露骨に口に出しながら旅の支度しています。
「う――――ん、どうだろう。誤情報は
と、エンリが剣を手入れしながら、満面の笑みをしていた。
(旅支度をしているという前提で見ると、どうでもない光景だけど。一つ間違ったら、ヤーベーヤツにしか見え、ない)
「う――――――――ん――――――――ぅ」
と、ディナがリュックサックから物を出したり入れたりを繰り返していた。皆の旅支度する姿を見様見真似していた。
(きゃわいい、なぁー、もう! ぁ…………、杖が無造作に床に転がっている。冒険に持っていくの忘れてしまう、お約束の展開が)
「ディナ――つ」
ジャガーが唇に人差し指をあてながら、こっちに顔を向け。横に軽く振って、わたしの言葉を中断させた。わたしは、ジャガーに近づいて袖口をチョイチョイと引っ張って。
「持っていくの忘れるよ、このままじゃ。ディナ」
「黙って見守るのも仕事だ」
すると、ディナは慌て、きょろ、きょろ、と辺りを見回し。転がっている杖を拾って、リュックサックに付属されている杖専用の収納スペースに差し込んだ。
「こちらから気づかせてやることも、大事なことの一つだ、が。自分で気づくことも、大事なことの一つだ」
「ォオーォー、成長しているんだね。ディナも」
「残念なことに、成長が止まっているヤツもいるが、な」
(うん? 眺めている…………)
「わたしのことかい!」
「キアラさん!」
丈夫な革張り分厚い紅い手帳を左手で器用に広げ持ちながら、右手の紅い万年筆の先端を
「ご、ごめんな、さーーぁーーい!」
(えーーぇーーん。持っていく各種薬草やポーション、それに保存食をトリアスと二人で準備していたんだった、よーーぉーー!)
「ご帰還だな」
わたしは二階の部屋の窓をゆっくりと開けた。
(ゆっくりと開けたのは、わたしがお淑やかなレディーだからじゃないです。そもそも、お淑やかなキャラクターだったら冒険者してません。落下の危険性があるんです、この窓。サビで
窓から顔を出して覗き込んだ下の視界に、"アンドレイ"が大量の保存用瓶を載せた荷物運送用の二輪車で登場。
そうです! 今回のわたしたちの冒険(仕事)は――近くの村(徒歩移動で約、四日前後)から新しい湧き水を汲んでくる、ことです。
(絶対に騙されている?)
(え?! 詐欺師の典型的な手口、だ)
わたしも思いました騙されていると。商売として成立させるのなら、水不足のところに売りに行くのなら儲け話としはありえますが。実際問題として水不足が発生して困っているなら、緊急情報として冒険者組合を含むあらゆる情報機関に通達されて対策会議が開かれています。
緊急情報というのは、国家を超えて協力が必要と判断される案件ことを意味します。水不足は緊急情報にカテコライズされています。
なぜ、水不足が国家を超えて協力が必要なのか? 答えは簡単、動植物に加えて、モンスターも窮地に陥っているということ、です。
ということは。感のいい人なら答えが出ていると思います。
おっと、話が脱線してしまった。
詳しくは、
『特殊な効能があるらしいのです。飲むと便秘が解消されただったり。その水でコーヒーや紅茶などを入れると、素人でもプロの味が出せる、とか。あとは、肌に塗ると肌艶が美くなる』
と、いう情報を買ったんです。
そのとき――ひねくれ者のジャガーだけが、
「大丈夫か、それ?」
「旦那、心配性だな。水を汲んできて運ぶだけだから、それなりに冒険なれしている者なら。なーんにも問題ないって!」
「…………、クロード。ドラゴン討伐してくれって方が、俺としては、ありがたいのだが」
「…………、…………。だ・ん・な」
ったく! わたしたちは水運び仕事、が! ドラゴン討伐ハイレヴェルとイコールって。どんだけ、わたしたちのこと信用してないんじゃー!
――――
神神の微笑。ハチャメチャ・クエスト はちごさん @futatsume358
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