第84話 イエティ

「にゃ~……寒いにゃ~」


 俺たちはかなり高い位置まで登ってきていた。

 レーニャが凄く寒そうにしている。


 俺は道中の氷属性の魔物を吸収してきたため耐性が上がっており、寒さを感じないため、気温が下がってきているということは認識できていない。


 山の道も上に行けば上に行くほど、険しくなってくる。

 冷静に考えたら、少し装備が軽すぎる気がしてきた。


 滑落した場合、俺の防御力で何とかなるのだろうか。

 試してみないことには分からないが、流石にそんなリスクは犯せないな。

 俺は大丈夫かもしれないが、レーニャが滑落するのは流石にまずいだろうから、気を遣いながら登らないといけないな。


 それからしばらく登り続けると、レーニャがだいぶ疲れてきているようだ。


 ちょうど洞窟を発見したので、俺たちはそこに入って休むことにする。


 洞窟は暗い。

小光スモールライト】を使用して、周囲を照らす。


 しばらく洞窟の中で休憩していると、低い唸り声が聞こえてきた。


 複数の足音が近づいてくる。


 人間の足音ではない。

 ドスンドスンと、体重の物凄く重いものが歩かないと出ない音である。


 俺は音が聞こえてきた方を向く。


 最初は暗くて何も見えなかったが、徐々に音を出した者の正体が見え始める。


 白い毛に覆われた二足歩行の魔物だ。

 身長は二メートルは超えていそうだ。

 顔は凶悪そのものである。


 その魔物が十体こちらに向かって歩いてきていた。


「こいつらは……イエティじゃな」


 メクが魔物を見てそう呟いた。


 イエティって雪山にいるっていう伝説の生物か?

 この世界では魔物の名前であるようだな。

 俺は一応鑑定してみる。


『イエティ Lv.30/36

 氷属性の人型の魔物。【氷拳アイスパンチ】で敵を凍り付かせる。弱点は炎属性だ。

 HP 312/312

 MP 24/24

 スキル 【氷拳アイスパンチLv4】

 耐性 【氷耐性Lv8】』


 アイス・ジャイアントスネークよりは弱そうである。

 まあ、これは一体のイエティの鑑定結果なので、ほかの奴はもっと強いという可能性もある。

 俺は調べてみるが、全員大差なかった。

 限界レベル41が、このイエティの集団の中では最強だった。

 十体いるが、これなら楽に倒せそうだ。


 イエティはゴリラのようにドラミングをして、威嚇してくるが攻撃はしてこない。


 多分ここは俺たちの縄張りなので、出ていけとでも主張しているのか。


 向こうから来ないなら、何となく倒したくはないよな。

 大体魔物ってのは、向こうから攻撃してくるもんだからな。


 とはいえ、この洞窟を出て休憩は出来ないしな。

 外に比べると、中の方が当然のごとく暖かいし、出たくはない。


 俺が攻撃もせず逃げもせず、その場でじっとしていると、痺れを切らしたイエティたちが襲い掛かってきた。


 こいつも炎属性が弱点だ。

 俺は【炎玉フレイム・ボール】を乱射して、一匹ずつ確実に葬り去っていく。


 レーニャも戦闘し、一体のイエティをあっさりと退治した。


 イエティを全滅させる。

 俺は全てのイエティの死体を吸収した。


 十体合計で HP624上昇、MP48上昇、攻撃力33上昇、防御力31上昇、速さ45上昇、スキルポイント31獲得


 流石に十体も吸収したら結構上がったな。


 特にHPが最近すごい勢いで、上がってきている。


 もうイエティはいないようで、俺たちは洞窟でしばらく休憩してから山登りを再開した。

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