第77話 出発
「あの、それでは皆さん行ってらっしゃいませ」
俺たちは準備を終えてヴァーフォルを出るとき、リコに暫しの別れの挨拶をした。
リコはまだ街の復興で色々やることがあるので、俺たちの旅に同行することは出来ない。リコは寂しそうな表情で俺たちを見送る。
「まだ俺の刻印のことについても図書館で調べないといけないから、またここには戻ってくる」
「はい、待っていますね」
最後リコは笑顔で俺たちを見送ってくれた。
ルクファナの森のあるクレンフォス王国までの道のりは遠いらしい。
移動は馬車などは使わず徒歩で行く。
馬車は金がかかるというのもあるが、俺とレーニャなら生身で行っても早いという理由がある。メクは遅いが、俺に背負われているので、あまり問題はない。
道中魔物を倒して、ステータスを強化できるというメリットもある。
ただとにかく遠い遠い言うだけあって、本当に遠かったのでクレンフォス王国に着くまでに、60日は費やした。
流石に60日間も移動し続ければ、疲労もたまる。
ちなみに道中倒した魔物はすべて吸収し、これで俺のステータスは、
名前 テツヤ・タカハシ
年齢 25
レベル 1/1
HP 2302/2302
MP 1765/1765
攻撃力 1455
防御力 1533
速度 1456
スキルポイント 2
スキル【死体吸収】【鑑定Lv5】【
耐性 【毒耐性Lv5】【雷耐性Lv5】【炎耐性Lv5】【氷耐性Lv3】
こうなった。
初期から考えれば信じられないほどの躍進ぶりだな。
スキルは【
一番威力が高いのは【
Lv10ともなると相当威力が上がる。多少強力な敵でもこれなら確実に一撃で葬り去れるだろう。
それと【
これ自体はそこまで強いスキルでもない。わざわざ毒を使って倒さなければならないほどの敵と出会っていないというのもあるが。
そして問題がひとつあり、この【
メクに尋ねてみると、個人差はあるが獲得できるスキルには上限があるらしい。
上限に達していても新しいスキルを習得したい場合は、上限を開放するポーションや、現在覚えているスキルを忘れさせるポーションなんかを使うのが有効だそうだ。
どちらも高価だという。
ただ忘れさせるポーションは買えないレベルではないし、現時点で使っていない不必要なスキルもあるので、今度金でそれを買うつもりである。
そして俺たちはクレンフォス王国を歩き続けて、一度王都に立ち寄ってみた。
「ここがクレンフォスの王都かぁ……」
「アタシみたいなのがいっぱいいるにゃ」
そこら中、獣人だらけの町である。
ヴァーフォルには色んな種族がいたので、当然獣人もいたのだが、ここまでの数はいなかった。
人間が来るのは珍しいのか、俺は結構見られる。
ちなみにメクは俺に背負われているので、現状ただのぬいぐるみしか見えないという状態だ。
何というか凄く異世界感にあふれる街なので、本来ならばもっと観光したいところだが、今日は立ち寄っただけなので、一泊したらすぐに発つつもりだ。
「何だか懐かしい気持ちになるにゃ。どうしてかにゃ? 初めて来る街なのに」
レーニャが街並みを見ながらそう言った。
そう言えばレーニャは死の谷に落ちる以前の記憶がないと言っていたな。
もしかしたらこの国の出身だったりするのだろうか。
「ふむ、そう言えばレーニャは記憶がなかったのう。お主の記憶も取り戻さねばなるまいか」
「え? 別にいいにゃ。記憶なんてなくても、テツヤと師匠といればいつもたのしいにゃ」
そのレーニャの言葉に嘘はなさそうだった。過去の記憶にはまるで興味を抱いていない様子である。
「いや、そういうわけにもいかんじゃろう」
「そうだよな……もしこの町に何か手掛かりがあるのなら、探してみたらどうだ?」
「本当に思い出さなくてもいいのにゃ~。今回は師匠を元に戻す旅だから、思い出すにしてもあとにするにゃ」
「……まあ、それもそうじゃな。じゃが今回の旅が終わったら、またここに来るとしよう」
レーニャの記憶を取り戻すため、町を散策してみることは今回はやめにして、ルクファナの森の場所を尋ねる。
王都から少し南に行った場所にある、トーカと呼ばれる村のすぐ近くにルクファナの森はあるらしい。
俺たちは王都の宿に泊まり、トーカまで向かった。
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