第71話 vs勇者オオシマ②
メクの指示はオオシマも聞いていたはずだが、彼は全くその場から動いていなかった。盾で防ぎ切れる自信があるのだろう。
オオシマは盾を岩が落ちてくる場所を予測して構える。
盾に当たって隕石は跳ね返っていくと思いきや、当たる直前に爆発した。
なるほど、広範囲にわたる攻撃なら、盾で防いでもダメージは入るだろう。
爆発で土煙が上がり、それが徐々に晴れて、オオシマの姿が映る。
無傷だった。
鑑定で見てもダメージは受けていない。
「ふむ、威力が足らんかったかのう」
爆発の威力が足りなくて、ダメージがゼロだとメクは思ったみたいだ。
しかし、食らっていたら1くらいダメージを受けていてもいいと思うがな。
あの盾には、まだ何か効果があるかもな。
とにかくあの盾に防がれないように、スピードを活かして攻撃するか。
「疾風の如く速くなれ!」
メクが呪文を唱えた。
俺の全身に緑色の光が纏った。
これも初めて聞く魔法である。
恐らくかかったものの移動速度を上げる魔法だろう。
オオシマを攻略するには、盾を壊すのではなく速く動いて直接奴の体に攻撃を入れるのが、やはり効果的である。メクが魔法を俺にかけたということは、俺とメクの考えが一致したと考えていいだろう。
メクは同じ魔法をレーニャにもかけた。
俺は全力で動き、オオシマの後ろに回り込んでみる。
かつてないほどの速度で動くことができた。
オオシマは、俺の動きを全く捉えることが出来ていない。
これなら攻撃を当てられると確信した俺は、オオシマの背中に斬りかかる。
これは確実に当たる、そう思った直後。
先ほどレーニャの攻撃を防いだ時と同じく、物凄い反応を見せて、当たる寸前で俺の剣を防いできた。
剣での攻撃が反射され、肩の辺りに斬撃が入る。
「ぐっ!!」
俺も防御力が高いタイプなので、斬れはしなかったのだがダメージは受けた。肩に痛みが走る。
俺にはタケイを倒した時に得た、【
しかし、あの超反応。
流石におかしい。
あれだけの速度が出せるのなら、もっとそれを活かして攻撃すればいいはずだ。しかし、しないということはあのスピードになるのに、条件があるのだろう。
恐らく攻撃か。
あの盾には攻撃が来た場合、本人の意思とは反して超速で攻撃を防ぎに行くみたいな機能が付いているのかもしれないな。
そうなると、面倒だ。
あのタイミングでも当てられないとなると、オオシマに攻撃を当てるということは、今の俺には不可能という事になる。
あれを……使うしかないか。【
俺は正直、タケイから得た能力はなるべく使いたくないという感情がある。
あんな奴の能力を使うなんて、何とかく気分が悪く感じるからだ。まあ、悪いのはタケイであって、スキルではないんだけどな。
【
個人的な気分よりも、この戦いに勝てるかだ。
負けてしまったらメクとレーニャが危ない。
やるしかないんだ。
俺は使いたくないという気持ちを封じ込めて、【
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