第58話 スキルの効果
その言葉を聞いて、私は驚愕します。
アイサのステータスを見ました。
レベルは19/34となっていた思います。
元々のアイサのレベルは知らなかったので、その時は上がったのかよく分かりませんでした。
「本当に上がったから、見てて!」
もう一度、アイサは赤い水を舐めます。
すると、どうでしょう。
アイサのステータスに書かれているレベルが、19/34から21/34と変化しました。
「こ、このお水凄いよ! 全部飲めば最大レベルまで上がるでしょ! リコおねちゃん飲んでみて!」
アイサはコップを取ってきて、私に手渡しました。
私はそのコップで、赤い水を掬い、そして飲みます。
味は非常に美味しかったです。甘いイチゴジュースのような味でした。
コップ一杯分、飲み干したら私は何やら、体の奥底から物凄い力が湧き出してくるような、そんな感覚を味わいました。
そして、
『レベルが1から41へと上昇しました』
と機械のような音が響いてきました。
レベルが上がる時の音声はこの時初めて聞きました。
あ、テツヤさんはレベル1より上には、ならないので聞いたことありませんでしたか。レベルが上がると、こうやって声が聞こえてくるんです。
へー、テツヤさんがスキルで能力を上げた時のみ、声が聞こえるんですねー。よく考えれば不思議ですね。誰の声なんでしょう。神さま?
すみません、話が逸れてしまいましたね。
コップ一杯分、全体量の半分くらいでここまでレベルが上がったので、それはもう仰天しました。
もう半分は、アイサが飲んで、彼女は限界レベルまでレベルが上がりました。
「これ全部飲んじゃったらどうなるんだろう?」
「もう一回出せないの?」
「そうだね……【虹色の神水】!」
と言いましたが、赤い水は出てきません。というか出ていた水が全て消えました。
もう一度言うと、赤い水以外は全て、出てきました。
「も、もしかして、一度飲んじゃったらもう飲めないの……?」
「そ、それは大変な事を……ん?」
よくよく見たら、先程まで赤い水があった場所に、小さな小さな赤い水がありました。
本当にちょっとずつですが、水は膨張していました。
これは、あとで知ったのですが、水は出していない時でも増えます。全部飲み干してから、元の大きさに戻るまで、五日ほどかかります。
「ほかの水もどんな事が起こるか試してみようよ!」
「うん、そうだね」
アイサの提案に私は乗りました。
何だか自分にこんな不思議で強い力が備わっているなんて、ワクワクドキドキした事を今でも覚えています。
ほかの水も試してみました。
・赤
【効果】レベルが上がる
【味】イチゴ味
・オレンジ
【効果】二時間ほど、凄くパワーが手にできる
【味】みかん味
・黄
【効果】二時間ほど、凄くスピードが上がる
【味】バナナ味
・緑
【効果】二時間ほど、凄く防御力が上がる。
【味】キウイ味
・青
【効果】二時間ほど、凄くMPが上がる。
【味】ブルーベリー味
・藍
【効果】二時間ほど、凄くHPが上がる。
【味】ブドウ味
・紫
【効果】空腹をなくす。栄養もちゃんと摂取したことになるので、食べなくてもよくなる
【味】無し
こんな感じでした。
紫だけは最初お腹が空いていない状態で、飲んでみたので、味のしない無駄な水だと思っていたのですが、後に気づきます。
確か森に狩りに行った時、お腹が減ったので、食事を取ろうとしたときです。最初にアイサが喉が渇いたというので、使えないと思っていた紫の水を飲ませてあげたときに、気づきました。
ちょっと舐めた程度で空腹が癒えて、何も食べなくてよくなります。
味はしないので、やはり何か食べたくはあるのですが、それでもこの紫の水さえあれば、飢えなくて済むので、非常に安心です。
もっと早くにこれに気づいていれば、最初にあんなに飢えることもありませんでしたね。
それからしばらく暮らし続けます。
私のスキルのおかげで、だいぶ暮らしぶりは楽になりました。
強くなれるので、狩りもだいぶ楽になりますし、何も取れなくても、紫の水さえあれば、飢えはしのげるわけですから、私の能力は非常に役に立ちました。
それからある日、狩りに行っていると、何かがいきなり頭にぶつかりました。そこで気を失ったんですが、その時ですね、気づいたら右手の甲に刻印が刻まれていたのは。
もしかしたらその時、私を気絶させたのは、テツヤさんのおっしゃっていた黒騎士かもしれませんね。気絶してから特に後遺症もなく、それ以降、特に何もなかったので、かなり気味が悪かったですが、あまり深く気にしないことにしていました。
それから確かに、水の効力が上がった気がします。
そういえば赤い水の新しい効力が発見されたのも、あの後くらいでしたかね。
これは私、以外の者では出来ないのですが、赤い水を大量に飲むと限界レベルが上がるんです。
今の私は、限界レベルが48じゃなくて、もっと上になっています。73でしたか。レベルも同じ数字です。だから結構強いんですよ。
先程も言いましたが、不思議と私以外の者の限界レベルは上げてくれないんです。スキル使用者の特権みたいなものでしょうかね?
黒騎士の事は特に気にせず暮らしていました。
もしかしたらこのまま一生、このまま暮らすのも悪くないかも、そう思っていた時、
「リコ、お前さんはこの家から出て行った方がええぞ」
イザベラさんにそう言われました。
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