第44話 戦闘開始
1時間後、予想通り勇者たちがブラクセルの目前まで迫ってきた。
小柄な勇者が、鎧を身につけた騎士達を引き連れている。
「来たぜてめーら。降参してもいいぞー。レベル的には既にカンストしてっからこれ以上殺す必要もねーしなー。まあ、抵抗するなら確実に殺すが、どうするー?」
勇者は大声でそう言った。エルフ達を殺す事をなんとも思っていないようだ。
そのようすを見て、ふつふつと胸の内から怒りが湧いてくる。
「テツヤ殿」
「ああ、挑発してくる」
俺は城の外に出た。
「あー? あれ? 人間じゃんてめー。なんだ? この城に捕まってたのか? まぬけだなー。あんたを外に出したって事は、抵抗する気はないって事か?」
俺のことなどすっかり忘れているようだ。完全に初対面と言う感じで接してきている。
こいつらにとって俺を谷に叩き落したのは、取るに足らない、記憶する価値もないような出来事だったのだろう。
とりあえず最初に鑑定しておこう。勇者を鑑定する。
『人間。個体名:シュン・タケイ。Lv.93/93 16歳
♂
HP 1422/1422
MP 1232/1232
知能が高い。レベルアップによるスキルポイントの上昇が多いという特徴がある』
何かめっちゃHPとMP高いんですが。リーザース変身形態より高い。
レベルはそう違わないはずなのに何故こんなに差がある? 勇者だからか?
単独だと勝てないかもしれないな。でもこちらには味方がいる。勝てるはずだ。
俺は勇者タケイのステータスを見ても怯まずに、
「俺は人間側じゃない。お前等の敵だ」
「どういう意味だぁ?」
「お前らを追い払いに来たって事だよ。おいチビ、てめーなんぞ3秒でぶっ殺してやるよ」
「あぁ?」
タケイの顔色が変わる。かなりイラついているようだ。やはり身長にコンプレックスがあるようだな。
「おい今なんつった?」
「おいチビ、てめーなんぞ3秒でぶっ殺してやるよって言ったんだ。聞いていなかったか?」
「……死にてぇーらしいな。分かった望み通り殺してやろう」
タケイは息をふぅーと吐いて、次の瞬間、俺に向かって飛び掛ってきた。
速い!
早いけど、反応できない速度じゃない。
俺はタケイから逃げる。向かう場所は荒野。
「待てコラ!!」
「テメーなんかに追いつかれるかノロマ!」
俺は我ながら安っぽいな、と思うセリフを吐きながら、荒野に向かった。
その後、タケイを後ろにいた騎士たちが追いかけようとする。そのタイミングを見計らって、エルフ兵たちが飛び出
してきて、騎士たちを足止めし始めた。
あとは荒野まで行って、コイツをぶちのめすだけだ!
だいぶ長い距離逃げて荒野に到着。俺は逃げるのをやめた。
「逃げるのはやめか? っち、何でこんなにはえーんだてめー。つーかここどこだ? まあいい。俺を馬鹿にしたからには、確実にぶっ殺してやるよ」
「メク、レーニャ」
俺がそう合図すると、勇者を取り囲むようにメクとレーニャが出てきた。
「さ、してくれ。手早く倒すとするかの」
「
メクがそう言った後、俺は言われた通り、
そして、レーニャが獣化をする。
対勇者戦が始まった。
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