第34話 決着

 俺の意識は現実に引き戻される。


 まず、痛みがかなり緩和されている。最大HPが上がった分、HPが回復したためだろう。


 リーザースは、俺のすぐ近くまで来ており、手を振り上げ俺にとどめをさそうとする。


「テツヤ!」


 メクの叫び声が聞こえる。


 心配をかけさせているようだ。早く安心させないといけないな。

 俺は立ち上がり、剣でリーザースの攻撃を受け止めた。


「なに?」


 攻撃を受け止められて、リーザースは困惑の声を漏らす。

 さっきまで虫の息だった男が、いきなり復活したら、それは困惑もするだろう。


 困惑している隙を突いて、リーザースの足を剣で斬りつける。

 剣の質が悪いため斬れはしないが、鈍器にはなる。

 足を打たれて、リーザースは体勢を崩される。


「ぐ……!」


 かなり痛がっている。鑑定で見てみると、100くらいダメージが入っている。物凄く攻撃力が上昇しているみたいだ。


 リーザースが痛がっている隙に、今度は肩の辺りに剣を力いっぱい振り下ろす。


「ぐはっ!」


 もろに直撃を受けたリーザースは、呻き声を地面に倒れこむ。


 剣が軽くなったと思ったら、折れていた。

 俺の攻撃力に、剣の耐久力がもたなかったみたいだ。


 奴のHPは946/1284。


 まだまだHPは残っているが、だいぶ減っている。

 多分HPだけならこいつの方が高いが、元々HPとMPが高くほかの能力はそこまでないタイプなんだろう。

 かなりダメージが入っていることから、ほかのステータスは俺の方が高いと見た。

 剣が折れたので、スキルを中心に攻撃しよう。


 スキルの攻撃力は、スキルレベル+自分の攻撃力で決まっていると、メクから話を聞いた。

 なので、だいぶ強くなっているはず。ここは洞窟で天井が狭いので、【隕石メテオ】が使えない。

炎玉フレイムボール】を中心に戦おう。


 と決めた時、視界が真っ黒に染まる。


 その直後、胸のあたりに強い衝撃を3回、続け様に受け、俺は少し仰け反る。


 視界が戻る。どうやら前に使われた戦法を再び使ってきたようだ。


「いきなり強くなった理由はわかりませんが、油断しましたね。【闇爆ダーク・ブラスト】を3発食らえば、無事でいられないでしょう」


 とリーザースは言っているが……確かに結構痛いが、我慢出来ないレベルじゃない。これなら不良に蹴られた時の方がよっぽど痛いと感じた。元々高かった防御力が、かなり強化されたのだろう。


 リーザースは俺が平然と立っているのを遅れて確認して、「馬鹿な……」と呆然としながら、呟いた。


 俺は【炎玉】を撃つ。リーザースは避けた。近くで撃たないと避けられるか。俺は距離を詰める。リーザースが【闇爆ダーク・ブラスト】を放ってくる。あっさりと避けて、至近距離まで近づいて【炎玉】をリーザースに当てた。


 当たった瞬間、爆発が起きる。リーザースは苦しげに呻いて倒れこむ。1発で、150くらいHPが削れた。俺は何度も【炎玉】を撃ち込んだ。


「ぐああああ! このワタクシがこのワタクシがこんな所で!」


 苦しげな悲鳴をあげて、リーザースは焼かれる。


 もはやHPも残りわずか。

 俺はトドメの1発を撃ち、それが命中。


「ぐあああああああああああああああ!」


 リーザースは断末魔の悲鳴を上げ、地面に倒れ込んだ。


 グレーターデーモンのリーザースを討伐する事に、成功した。

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