第20話 勇者達
「ははははは! 最初はどうなるかと思ったけど、異世界さいこーだな!」
アーバス王国の王宮。
長髪の勇者、不良たちのリーダー格であった
「だなー! いいもの食い放題、女は抱き放題!」
金髪の大柄の勇者、
「最初はダンジョンに行かされた時はどうなることかと思ったけど、敵雑魚過ぎて余裕過ぎるし、それだけで、こんな贅沢できるとか。こんな良いところだとは思わなかったな!」
「もう帰りたくないくらいだなー」
坊主頭の勇者、
勇者としてこの世界に召喚された4人の不良たちは、至れり尽くせりな扱いを受けていた。
1日に数時間、ダンジョンに行き、戦闘訓練を行う必要があるのだが、それさえやっておけばあとは、女を抱くなり良いものを食べるなり、ご褒美として望んだものをくれるのだ。
ダンジョンでの戦闘訓練は一言で言えば楽勝。
まともにダメージを与えてくる魔物すらいない。
こんなんで訓練になるのか、彼らも疑問に思っていたが、勇者は普通のものよりもレベルが格段に上がりやすいうえ、大したことのない相手でもレベルが上がる。スキルの使い方や、基本的な戦いかたは相手が弱くても身につけることができた。
ちなみに現在の彼らのレベルは、海斗が99/125、礼二が78/99、弘が75/95、駿が72/93となっていた。
ダンジョン攻略であげたレベルだけでなく、飲めばレベルが上がるポーションを勇者たちのために作ってあり、それを飲むことでレベルがさらに上がっている。
「でも、俺は女にはちょっと不満があるな」
海斗がそう言った。
「なんでだ。可愛いやつばっかじゃねーか」
「そうだけどよ。みんな外人だぜ外人。日本人とやりてーよ」
「あー、それはある」
「そういえば俺たちと一緒に来ていた女可愛かったよな。あいつ探させて連れて来させるか?」
「いーねー、あれはいい女だったなぁ。あと多分処女だ。最初に犯すのは俺だかんな」
下卑た表情で勇者たちは語り合っている。
彼らの頭の中に、哲也のことなど完全に消え去っていた。
どうでもいいおっさんが死のうがどうなろうが、彼らはどうでもいい以外の感想は持てなかった。
「勇者の皆様いいでしょうか?」
ミームがいつの間にかやってきて、勇者たちに声をかけた。
「なんだぁ?」
「王様から話がございます。付いてきてください」
勇者たちは怪訝な表情を浮かべて、見つめ合う。
ここは従って付いていくことにした。
案内されたのは、最初に召喚された場所。
玉座に王様が座っており、周りには王の家来たちがいる。
「おお! よく来た勇者たちよ!」
「話っつうのはなんだ」
海斗がぶっきらぼうに言った。
無礼な態度に若干周りの家来たちは、イラついたような表情を浮かべるが、何も言わない。
勇者に意見できる人物はいなかった。
「お主たちのレベルは、皆すでに70を超えたという。70といえば一人でドラゴンをも倒せるほどのレベルじゃ! カイトに至っては90あるという。レベル90のものなど今まで聞いたことない! どれほど強いのか想像すらできぬわ!」
「なげーよ何が言いたいんだ」
少し長い話に勇者たちはイラついているようだ。
王様は一度、コホンと咳払いをして、
「では、本題に入ろう。勇者たちは実戦に投入しても、十分なレベルになったと判断し、今度からお主たちには戦場で戦ってもらう!」
「なに?」
「マジかーついに戦争せにゃならんのか」
ついに戦場で戦いことになるのかと、少し不安になる勇者たち。
「大丈夫じゃ! 敵の強さはダンジョンにいた魔物とたいして変わらぬ! さらに領地をとり返した際は、その領地と城をそなたたちに授けよう!」
「領地と城……」
「城もらえんの?」
領地をもらえるいうことには、あまりピンと来ていないみたいだが、城が貰えるということには、少し反応する。
「城貰えるって結構やばくね? 俺たち超偉くなるんじゃね?」
「だよなー、敵も弱いっていうし、よっしゃ! やってやるか!」
勇者たちは、だいぶやる気を出したようだ。
「やる気を出されたことは、私どもとしても大変嬉しいです。では、細かい説明を今から行います」
勇者たちは細かい説明を受けた後、戦場に向かう。
今後彼らは戦場にて、恐れられる存在になっていく。
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