第16話 鑑定不可

「にゃー! うにゃー!」


 レーニャが1人で魔物と戦っている。

 戦っている魔物は、ケイブウルフ、狼の魔物だ。ちなみにレベルは22/29だ。


 なぜレーニャが1人で戦っているのかというと、先ほど役に立たなかったので、今度は絶対に自分が倒す! と意気込んでいたからだ。

 そしてケイブウルフが出てきて、「この程度なら1人で大丈夫にゃ! テツヤは後ろで見ているにゃ!」と言って1人で戦いだした。


 大丈夫か? とメクに聞くと、「1体しかいないし余裕じゃろう」と言ったので、俺は後ろから1人で戦うようすを見ていた。


 少し心配していたが、無駄な心配なようだった。

 レーニャは、素早く動き敵の攻撃をすべてかわして、そして爪で攻撃を加える。

 敵に付け入る隙を与えないまま、何度も爪で攻撃し、最終的に首の辺りに攻撃がヒットし、血が大量に噴き出してケイブウルフは死亡した。


「やったー倒したにゃ!」


 倒した瞬間、レーニャが俺の方に駆け寄ってきた。


「アタシが足手まといににゃらにゃいと、分かったにゃ?」

「うん、レーニャ強かったよ」

「にゃははー」


 とニコニコとレーニャは笑っている。


「倒したから褒めてにゃん~。撫でてにゃん~」


 と言って頭を差し出してきた。


 少し迷うが、撫でる。

 レーニャは撫でられるのが本当に気に入ったようだ。


 俺も撫でるのは嫌いじゃない。

 レーニャの髪は触り心地がいいし、耳はふわふわだし、触ってて飽きない。

 なんで、結構長く撫でていると、


「いつまでやっとるんじゃ阿呆共! 遊びに来たわけではないのじゃぞ!」


 メクに怒鳴られた。


「ごめんごめん」と俺は軽く謝って撫でるのを止めた。

 レーニャは、もう少し撫でて欲しそうだったが、メクの言うとおり早く先に進まないといけない。


 俺はレーニャが倒した、ケイブウルフを吸収した。


 HP10上昇、MP2上昇、攻撃力4上昇、防御力2上昇、速さ3上昇、スキルポイント2獲得


 結構、攻撃力が上昇した。

 ただ、スキルや耐性は得られなかった。


 そして、俺達は先に進む。


 そのあいだ、結構魔物と出くわし、倒して吸収した。


 HP60上昇、MP10上昇、攻撃力15上昇、防御力8上昇、速さ10上昇、スキルポイント10獲得。

 スキル【炎玉フレイムボールLv2】が、【炎玉フレイムボールLv4】に上昇。

 耐性【炎耐性Lv1】が、【炎耐性Lv3】に上昇。


 新しいスキルをくれる魔物はいなかった。


 これで俺のステータスは、


 名前  テツヤ・タカハシ

 年齢  25

 レベル 1/1

 HP   199/199

 MP   74/84

 攻撃力 82

 防御力 124

 速さ  85

 スキルポイント 2

 スキル【死体吸収】【鑑定Lv2】【隕石メテオLv4】【強酸弾アシッドショットLv2】【雷撃サンダーショックLv2】【吸い取り糸アブソーブスレッドLv1】【炎玉フレイムボールLv.4】

 耐性 【毒耐性Lv2】【雷耐性Lv1】【炎耐性Lv3】


 ちなみにMPは一回寝て全回復した。

 その後、隕石メテオを三回使って、30減り、【吸い取り糸アブソーブスレッドLv1】を使えばMPも吸収できるらしく、【吸い取り糸アブソーブスレッドLv1】が効く魔物がいたので、そいつに使って20回復した。


 それと、スキルポイントを20消費して【隕石メテオ】を上げた。

 【隕石メテオ】が、俺の最大火力だから、上げといたほうがいいだろうと判断して、上げた。


「これなら、もう十分じゃろ。ジャイアントゴーレムにも十分攻撃が通ると思うぞ」


 メクがそう言ってきた。


「それは良かった。じゃあ、出口まで行くか」

「そうじゃの」

「にゃ~!」


 俺達は出口を目指して歩き出そうとしたその時、


 そいつが現れた。


 ガシャ……ガシャ……


 前方、少し遠くの方から、なにやら鎧を装備した男が歩くような音が聞こえてくる。


「なんじゃ? いったん止まれ」


 メクがそう指示を出した。

 指示に従い、俺とレーニャは歩くのを止める。


 俺は前方を見る。


 その前方から来るものの姿を一目見て、俺の心臓がどきりとはねた。


 真っ黒い鎧を着た騎士だ。

 ただ、それだけじゃない。


 禍々しい黒いオーラみたいなものが、騎士に纏わりついている。

 何だろう、本能的な恐怖心や、嫌悪感を掻きたててくる。


 こいつは関わっていい奴じゃない。


 本能が全力で俺に告げていた。


「な、なんじゃあいつは……」

「にゃ、にゃ~……」


 俺だけじゃなく、メクやレーニャも同じ感想を持ったみたいで、かなり怯えている。


 奴はこちらに向かって歩いてくる。


 いち早く動き出したのはレーニャだ。


 レーニャは物音を立てないようゆっくりと歩き出し、近くの岩陰に隠れた。

 俺とメクもレーニャに続いて、岩陰に隠れる。


 ガシャガシャという音が近づいてくる。


 俺は岩陰から目だけを出す。


「何をしておるのじゃ……!」


 そんな俺の行動を見て、メクが小声で注意する。

 俺は、


「鑑定してみる」


 と小声で返答した。

 恐ろしかったけど、一応正体を知りたいと俺は思ったのだ。


 そして、黒い騎士が見える場所まで来たので、鑑定してみた。


『鑑定不可』


 そう声が響いた。


「鑑定……不可?」


 鑑定した瞬間、再び岩陰に身を隠し、俺は小声でそう呟いた。


「な、なに……!?」


 メクが驚く。


「常識的な能力を大きく逸脱したものは、鑑定不可になると聞いたことがある。あれはとんでもない存在らしいな……」

「じょ、常識的な能力ってどのくらい?」

「ステータスはどんなに良くても、それぞれ9999が限度とされている。つまりはそれを超えておる能力があるという事じゃ」

「……9999!? な、なんでそんな化け物が、ここに!?」

「知らん。わしに聞くな」

「にゃ……にゃ~」


 俺はさすがにビビリまくる。レーニャも怯えて俺にしがみついてくる。

 なんでもうすぐ出られるって時にそんな化け物が?


 奴の歩く音は、ゆっくりとだが確実に近づいてくる。


「これはもはや、見つからぬよう天に祈るしかあるまいな……」


 ガシャ……ガシャ……ガシャ……ガシャ……


 音がなるたび、俺の心臓の鼓動がスピードを上げる。

 頬から汗が滴り落ちる。


 頼むこっちに来るな!


 その、俺の願いが通じたのか。

 奴の歩く音が徐々に遠ざかり始めた。


 少し待って俺は岩陰から顔を出して確認。


 奴はいなくなっていた。


「よ、よかった……」

「見つからなくてよかったの」

「……にゃ、にゃ~ん」


 今、考えれば見つかっても、殺されるとは限らないのだが、奴の禍々しい、いでたちを見てそうは思えなった。


 とにかく、安心した俺達は急いで洞窟の出口に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る