第15話 洞窟

 翌日の早朝、俺達は家を出て抜け道に向かった。


 先頭をメクがトコトコと歩いている。


 道中、魔物が穴から出てきているのを発見。

 魔物も死霊に襲われるらしく、夜になったら魔物達も本能的に巣穴などに隠れて、襲われないようにするという。


 ちなみに出てきた魔物はゴブリンだった。

 3体出たので倒して、死体吸収する。


 HP15上昇、MP3上昇、攻撃力3上昇、防御力3上昇、速度3上昇、スキルポイント3獲得。


 3体合わせてそれだけ上昇した。


「それが、死体吸収か」

「吸い込まれちゃったにゃー」


 俺のスキルを初めて見て、驚くメクとレーニャ。


「それでどのくらいステータスは上がるのじゃ?」

「えーと」


 俺は上がった数値を伝える。


「ゴブリン一体で1上がるのか。ゴブリンなんてこの谷を出れば山ほどいるから、倒して吸収しまくれば無敵になれるぞお主」

「そうなの?」

「普通、レベルの場合は弱い奴だけを倒していても、上がらんのじゃがな。その能力も、もしかしたらそのうち、弱い奴を吸収しても、一切ステータスが上がらなくなるかものう」


 そういう制約が出来てくる可能性もあるか。


 でも、ゴブリンだけ殺して強くなるって何かやだな。

 俺、ゴブリンス○イヤーじゃねーし。

 まあ、それが強くなるのに一番効率的なら、やるかもしれないけど。


「あとどれくらいで着くんだ?」

「もうすぐ着くぞ。中にはその辺に出てくる魔物より強い奴らが出るからな。気を引き締めるんじゃぞ」


 そういわれて、俺は少し気を引き締めなおす。


「にゃーにゃー。テツヤは外に出たらなにがしたいにゃん?」


 気を引き締めろと言われたが、お構い無しと言う感じのお気楽な調子で、レーニャが尋ねてきた。


 外に出たら何がしたい……?

 具体的には考えてなかったな。


 とにかく生き残る。としか考えてなかったし。

 冒険者になって稼ぎつつ生きるとか?


「アタシはおいしいものいっぱい食べるにゃん! 記憶がないから分からにゃいけど、外にはおいしいものがいっぱいあるって師匠から聞いたのにゃ」


 レーニャは心底楽しみだというようすで言う。


「おいしいものか。それは俺も食べたいな。あのデカイきのこめちゃくちゃまずかったし」

「えー? テツヤきのこ食べちゃったのにゃん!? あれは食べるにゃって師匠が言ってのにゃ! 大丈夫なのにゃ!?」

「テツヤは毒耐性を持っておったし大丈夫じゃろう。それよりも気を引き締めろといったじゃろ。もう着くぞ?」


 少し怒ったような口調で、メクが言う。


「師匠は外に出てやりたい事はないの?」

「当然、この呪いを解くのじゃ。一体何十年この体で過ごしてきたことか……いい加減、解く方法を見つけないといかん」


 何十年って恐ろしい言葉が……

 そんな長いあいだ、この体なのかメクは。


「お、着いた。ここが抜け道じゃ」


 メクが示す先には大きな洞窟の入り口がある。


「この洞窟を抜ければ、出られるのか?」

「ああ、結構長いぞ。二日くらいはかかるかもな」


 二日かかるのか。


「にゃー! 行くにゃー!」


 レーニャが元気よく洞窟に入っていき、俺とメクもあとに続いた。



 洞窟に入りしばらくして魔物に遭遇した。

 ちなみにこの洞窟は、前の洞窟みたいに光るきのこがないので、【小光スモールライト】を使って辺りを照らしながら進んでいる。


 出現した魔物は、火で燃えているイタチみたいな奴だった。


 背中の部分が激しく燃えている。こいつが一匹出てきた。

 俺は鑑定を使いどんな魔物か調べる。


『フレイムウィーズル 10歳 29/36

 炎を纏ったイタチの魔物』


 レベルはそこそこ高い。

 炎を纏ったイタチなのはみたまんまだな。


「うにゃー……熱いのきらいにゃ~……」


 レーニャは怯えている。


「フレイムウィーズルか、少し厄介な奴が出てきたな。わしは打撃には強いが燃やされたら一巻の終わりじゃからな……」


 ぬいぐるみだし、よく燃えそうだな……


 俺は、まず【吸い取り糸アブソーブスレッド】を使用。

 糸を敵にくっつける。


 が、くっついた瞬間燃えた。

 ……この糸、耐火性ゼロなのか。


 敵が炎で攻撃をしてくる。


 炎の玉が三発撃たれ、俺、レーニャ、メク、それぞれに飛んでいった。


 若干隙が出来た俺は慌てて避ける。びっくりしたー。

 レーニャは火が本能的に恐いのか、「にゃあ!」と叫びながら避けている。

 火が当たるのがまずいと言っていたメクだが、一番冷静に避けていた。


 動きも速い。ステータスが弱体化していると言っていたが、動きはかなり良さそうだ


 俺は気を取り直して、攻撃を開始。


 この洞窟は天井が高いので、【隕石メテオ】が使用できそうだ。


 俺は【隕石メテオ】をフレイムウィーズルに落とす。


 ずどーーん! と音を立てて命中した。


 大ダメージを与えたみたいだが、まだもぞもぞと動いている。

 俺はとどめに、近づいて頭を蹴り付けた。


 蹴られたフレイムウィーズルは、ピクピクと少し動くがその後、ピタリと動かなくなった。


 たぶん死んだかな?


 俺は確認するため、近づいて触る。

 そして吸収できるようなので吸収した。


 HP30上昇、MP3上昇、攻撃力5上昇、防御力2上昇、速さ2上昇、スキルポイント2獲得

 スキル【炎玉フレイムボールLv.2】獲得。

 耐性【炎耐性Lv.1】獲得。


「結構攻撃力上がった」

「ふむ、奴は攻撃力は高い魔物じゃからの。敵のステータスによって得られるポイントが、変動しておるのか」


 それは俺もそう思っていた。


「うにゃー。何も出来なかったにゃ~……次はちゃんと戦うにゃ!」」


 レーニャは悔しそうな表情で、そう宣言をした。


 俺達はさらに洞窟の奥へと進んでいった。

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