第14話 共闘

 一緒に倒すか。

 率直に、悪くない提案だと俺は、


「いいんじゃないか?」


 と返答した。


「ふむ、なるほど。いいとは思うのじゃが、いかんせんわしはテツヤの強さを知らんからのう」

「強いって言ってるのににゃ~」

「どのくらい強いかが、分からんと言うておるのじゃ。そうじゃ、ステータスを見せてくれんかのう?」


 ステータスってあれ人に見せることが可能なのか。

 まあ、板で出てくるからな。見ようと思えば見せられるか。


 俺は「ステータスオープン」と言って見せた。ちなみに今のステータスは、


 名前  テツヤ・タカハシ

 年齢  25

 レベル 1/1

 HP   159/159

 MP   40/69

 攻撃力 62

 防御力 114

 速さ  73

 スキルポイント 10

 スキル【死体吸収】【鑑定Lv2】【隕石メテオLv3】【強酸弾アシッドショットLv2】【雷撃サンダーショックLv2】【吸い取り糸アブソーブスレッドLv1】

 耐性 【毒耐性Lv2】【雷耐性Lv1】


 こんな感じだ。

 メクは俺のステータスを見て、


「……な、なんじゃこのステータスは……?」


 と驚愕している。


「レベル1なのに、ステータスがどれも高水準。防御力にいたっては100を超えておるとは……スキルも通常人間が習得不可能な技もいくつも持っておる。【死体吸収】というスキルにいたっては、聞いたことすらない」

「うわすごいにゃ! どれもアタシの倍以上のステータスだにゃ~……でも、レベル1ってどうしてにゃんだろ?」


 メクは戸惑いながら呟き、レーニャは感心したあと、レベル1というのに疑問を持っている。


 やはりこの世界の常識的に、レベル1でこのステータスというのは、かなりおかしいらしい。

 そして【死体吸収】は、珍しいスキルのようだ。


「お主、何者だ?」

「いや……その。【死体吸収】ってスキルがあるでしょ。最初からこれもっててさ、これが結構使えるスキルで……」


 俺は【死体吸収】の説明を行った。


「死体の能力を吸収すると……な。まったく聞いた事の無い能力じゃな」

「で、どう? 倒せそう?」

「飛び抜けて防御が高いから、敵の攻撃はだいぶ防げるじゃろう。素早さも問題のない数字じゃ。若干攻撃に不安があるのう。敵は固いからな。まあ、抜け道にはいろんな魔物がおる。倒して、お主のスキルで吸収していけば、強くなれるじゃろうし。レーニャと共闘すれば倒せるくらいにはなるじゃろう」


 今のままでは倒せないかもしれないが、強化すれば倒せるようになれるか。


「じゃあ、倒せるのにゃん? やったにゃん! やっとここから出れるにゃん!」


 レーニャは嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねる。

 よほど出られそうな事が嬉しいみたいだ。


 まあ、この谷にずっといるなんて、正直いやだよな。

 どのくらい、いたかは分からないけど、この部屋の感じを見ると一週間やそこらじゃなさそうだし。


「まだ出られると決まってはおらんがのう。というよりお主が途中でやられないかが心配じゃ。もうちょっと強くなってから行った方がよいかもしれんぞ?」


 メクはレーニャにそう言った。


「えー! 出れるにゃら今すぐ出るにゃ! アタシもちょっとは強くなったにゃ! 今日やられたのはちょっと油断しちゃったからにゃ!」」


 レーニャは反発する。


 俺としても早く出れることなら出たいな。


「そうかの。まあ、わしも早く出たいしな。じゃあ、行くのはさっそく明日にするがよいか?」

「大丈夫だ」

「行くにゃー」


 明日、谷の抜け道に行くことに決定した。


 そのあと、ご飯をごちそうになった。

 魔物の肉をとってあるらしく、簡単な火の魔法をレーニャは使えるので、その肉を焼いて食べた。

 ぬいぐるみ状態のメクは食べる必要がないらしく、何も食べていなかった。


 ちなみに魔法はスキルとは少し違うものらしい。

 スキルはスキルポイントを使って、習得しないと使えないが、魔法は呪文さえ唱えれば誰でも使える。

 ただし、使うために必要なMPが、スキルに比べて多いのだそうだ。


 今回レーニャの使った魔法【小火スモールファイア】のように、弱い魔法はたいしてMPを消費せずに使える。

 俺もいくつか、便利な魔法を教えてもらった。

 その【小火スモールファイア】と、辺りを照らせる【小光スモールライト】の二つを教えてもらった。


 それと、呪文は、【小火スモールファイア】が「火よ」で、【小光スモールライト】が「光よ」と非常に単純だ。さすがにこれならすぐ覚えられる。


 飯を食べた後は、寝るのだが、


「にゃー……テツヤー……撫でて欲しいにゃ~」


 とレーニャが頼んできた。

 眠そうな表情をしている。


 そして「うにゃー」といいながら、俺の近くにすり寄って来て、頭を差し出してきた。


 俺は若干困る。

 最初撫でたのは、猫を撫でるつもりで撫でていたから、一切抵抗がなく撫でれたが、やはり女の子の頭を撫でるというのは少し緊張するというか……


 しかし、レーニャは、


「にゃー……撫でるにゃー」


 と頼んできている。


 困った俺は、何となくメクの方を見ている。


 メクは何も言わずに、ジーと俺を見ていた。


 これは、どうなんだ? 撫でろってことなの? 撫でるなってことなの?


「にゃ~、早く撫でるにゃ~」


 レーニャがじれったそうに頭を押し付けてくる。


 仕方ないここは撫でるしかない。

 俺は意を決してレーニャの頭を撫でた。


 俺はなるべく優しく、気を使いながら頭を撫でる。


 レーニャは撫でられているときは、うにゃーと気持ち良さそうな声を出し、しばらくして寝息を立て始めた。


「だいぶ懐いているようじゃの」


 ここで、メクが声をかけてきた。


「ただ、懐いているからと言って、変な事をするでないぞ。わしは眠らないでよい体だから、常に見張っておるからな」

「へ、変な事ってなんだ変な事って、するかそんなこと!」

「そうじゃのう。レーニャも悪い奴には懐かんじゃろうからの。お主がそんなことする奴には見えんが、念のためな」


 妙な疑いをかけられて、ドキッとする。

 実際、こんな年下の子にあれこれする気はない。というか、仮に歳が近くてもそんな度胸はない。

 伊達に25年間、童貞をやってはいない。


「わしらも二年はこの谷におるが、遂に明日ここを出られるかのう」


 二年もここにいるのか!? 俺は驚く。

 俺なんて一日いただけでも、だいぶ嫌気が差してきたのに、二年もいたのか。


 明日は絶対に、勝ってこの谷を出ないとな。


 使命感みたいなものが俺の胸にわいてきた。


 その後、眠気が襲ってきたので俺も寝た。




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