第9話 まだまだ吸収
次にイノシシのような魔物を発見した。
結構デカイ。
が、並外れて大きいというわけでもない。
大きさよりも目に付くところがある。
額から生えている、長い角だ。
螺旋状にねじれている角で、ビリビリと電気を纏っている。
雷属性かこいつは。
鑑定で見てみる。
『サンダーボア♂ 5歳 Lv.25/38
雷属性のイノシシの魔物』
やはり雷属性だ。
こいつを吸収したら、雷属性の耐性が上がるかもな。
ただ、少しレベルが高い気がする。
倒せるだろうか?
その分、吸収したときに上昇するステータスも大きいだろう。
ちなみに俺はサンダーボアを遠くから見ている。
遠くで見ながら、戦うか少し悩む。
とりあえず、
ここからじゃたぶん
説明しづらいのだが、感覚で何となく届くか届かないか分かるのだ。
サンダーボアに当てるにはもう少し近づかないといけないな。
俺は、そろ~と歩いて近づくが、少し近づいた瞬間、サンダーボアはこちらに気付いた。
な、なぜばれた。あいつら鼻がきくのか?
俺に気づいた瞬間、突進してくる。
つーか速ぇええ! 俺より全然速いぞこいつ!
しかも角から雷撃を放ってくる。
雷撃なんて速すぎて当然避けられない。普通に喰らう。痛ぇ!
あんまり電圧が高くないのか、そこまでダメージはないが、しびれてしばらく動きが止まる。
その隙に、サンダーボアが全速力で俺の腹めがけて、角を突き刺してくる。
やばっ! 死ぬ!
と思った……が。
角は確かに腹部に当たった。
だが、突き刺さらなかった。逆にサンダーボアの角が折れたぐらいだ。
どうも、こいつは速いけど攻撃力は低かったみたいだ。
というより俺の防御力が高すぎたのか?
そして、角が無くなったサンダーボアは、どうすればいいのか分からないみたいで、何だか俺の周りをうろうろしている。
何だかかわいそうだな。
でも、こいつを殺して吸収したら強くなれる。情けはかけない。
でもどうやって殺すか。近くて
さっき獲得した、
全部溶かしたら駄目だと思うので、頭の辺りを狙って、撃つ。
見事命中。
ジュー、と音を立て頭だけが溶けた。
何かここに来て、エグイ光景ばかり見ている気がするな、と思いながら、サンダーボアの死体に手を当てて吸収。
HP10上昇、MP5上昇、攻撃力2上昇、防御力5上昇、速度15上昇、スキルポイント2獲得。
スキル【
耐性【雷耐性Lv1】獲得。
よし、耐性とスキルゲット!
あと速度がだいぶ上がった。
あいつ速かったしな。
スキルポイントが溜まったけど、何か上げようかな?
いや一応、取っておこう。めっちゃ有能なスキルが今後手に入るかもしれない。
今のステータスは、
名前 テツヤ・タカハシ
年齢 25
レベル 1/1
HP 158/158
MP 39/64
攻撃力 61
防御力 113
速さ 53
スキルポイント 7
スキル【死体吸収】【鑑定Lv2】【
耐性 【毒耐性Lv1】【雷耐性Lv1】
こんな感じだ。
俺はさらに谷を歩き出した。
○
だいぶ歩いたから時間も経った。
腹が減ってきた。
死体吸収でも腹はたまらないらしい。
魔物は死体吸収したいしなー。
出来れば、植物とかを食べたいところだけど。
基本的に何もないところなんだよ。
きのこくらいしか生えてない。
あ、でも毒耐性獲得したから、きのこ食ってもいいのかな?
鑑定もあるし調べてみよう。
小さめの茶色いきのこが生えている。
普通のきのこっぽいし、これなら食えるんじゃ?
それを鑑定してみる。
『死ダケ
猛毒のきのこ。食べたらたいていの生物が即死する』
うん。これはやめておこう。
いや、名前が不穏すぎるし! 死ダケって!
こんな普通のきのこみたいな見た目しておいて。
つーかこれと同じきのこがそこら中に生えてる。
だからここは死の谷って呼ばれてるのか?
ほかのきのこは、俺を救ってくれたデカイきのこしかない。
鑑定してみよう。
『弾みダケ
巨大で弾力あるきのこ。致死性の無い毒がある』
こいつも毒あるのかい。
致死性はないみたいだけど。
うーん、腹減ったしなー。死なないなら大丈夫なんじゃ?
頭がおかしくなる毒とかだったら、死ぬより嫌だけど。
どうしようかだいぶ悩んだ挙句、とりあえず口に入れてみることにした。
さすがに口に入れただけで、死にはしないはずだ。
やばそうなら、吐き出そう。
俺は、きのこの下の白い部分を僅かにちぎって、口に入れた。
うわ、めちゃくちゃまずい。にげー。
すげーまずいけど、食えないって事はないか?
何となくいけそうな気がする。
俺はとりあえず飲み込んだ。
うん、なんとも無い。
とりあえず、腹に溜まるだけ食ってしまおう。
正直めちゃくちゃ火が欲しい。焼いて食べたい。
しかし、俺に火起こしのスキルはない。
諦めて、生で食うしかないないな。
俺は腹いっぱいになるまできのこを食べた。
すると、
『毒耐性Lv1から2に上昇』
と機械音が頭の中に響いた。
毒を食えば上がるんだな。
正直まずいから、あんま食いたくないけど。
腹ごしらえを終えた俺は、再び歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます