第8話 さらに吸収

 この谷を出るための出口探しを再開する前に、俺はスキルポイントというのを獲得したのを思い出した。


 スキルポイントって、スキル獲得したり、スキルLv上げたりしたりするのに使うんだろうけど、どうやって使えるんだろう? 

 ステータスに使い方なんて書いてないし。


 とりあえず、鑑定を強化してみるか。

 俺は「鑑定を強化!」と頭の中で念じてみた。


 すると、


『鑑定をLv2に上げるには、スキルポイントが10必要です。上げますか?』


 と聞かれた。出来るみたいだな。

 現在の俺のスキルポイントは、えーと…確か14だったな。

 少し迷うが、便利そうなスキルなので、上げることにした。


 これで鑑定がLv2に上昇。


 残りのスキルポイントは4だ。

 これで、隕石メテオも上げようとしたが、無理だった。

 20必要らしい。


 さて、この谷の出口を探しを始めよう。


 だいぶ強くなったとはいえ、今の俺以上になる強いモンスターがいないとも限らん。


 慎重に進もう。


 俺はゆっくり回りに気を配りながら、歩き始めた。



 歩いていたら、さっそく魔物に出くわした。


 トカゲのような魔物だ。

 ワニくらいの大きさの馬鹿デカいトカゲで、色は紫だ。

 それ以外これといった特徴はなく、本当にただのでかい紫色のトカゲ。


 俺はそのトカゲを鑑定してみる。


『ポイズンリザード♀ 11歳 Lv.14/29  

 猛毒を持っているトカゲ』


 下に説明が書かれるようになった。ステータスは書かれない。


 正直情報量少ないけど、Lv2だとこんなもんか。

 年齢も書かれるようになっているけど、ぶっちゃけそれはどうでもいい。


 猛毒を持っているのは少し怖いな。


 ただ動きはのろそうだ。

 遠くから隕石メテオを使って倒せばいい。


 そう考え、俺は距離をとろうとする。

 すると、ポイズンリザードが口を開け、紫色の液体を俺に向かって飛ばしてきた。

 間一髪で避けると、液体は後ろの岩に当たる。

 その岩がじゅわ~と音を立てて溶け出していった。


 その光景を見て、俺は身の毛がよだつ。


 避け損ねていたらどうなった? 防げたか? 防御が高いと防げるのか?

 いや、毒にたいする耐性が無くては、たぶん無理では?

 俺に毒耐性なんてものはないから、じゃあ、あれが当たったら後ろの岩みたいになるってことで……


 よし、いったん逃げよう。


 臆病風に吹かされた俺は逃走を選択。

 後ろから毒液を吐きまくってくるが、何とか避けて避けて避けまくる。


 スピードは俺の方が速いため、何とかまくことに成功。


 その後、俺は岩陰に隠れ、ポイズンリザードを観察している。


 奴は俺を探しているのか、キョロキョロと周りを見ている。


 しばらくすると、諦めて去ろうとする。


 さて、どうするか。

 殺すべきか。奴を吸収したら毒耐性が身に付くかもしれん。


 なるべく耐性は早く身につけたい、と俺みたいな臆病な人間は思っていた。


 やってやるか。


 隕石メテオ一発で殺せればいいのだが。

 頭に狙いを定めて落とそう。


 俺はポイズンリザードの頭めがけて、隕石メテオを落とした。


 完全に不意を突かれたポイズンリザードの頭に、隕石が直撃。


 グシャッ! 音が鳴り響き、ポイズンリザードの頭が粉砕される。

 血と先ほど飛ばしてきた毒が、地面に散らばる。


 俺は地面にある毒を避けながら、慎重にポイズンリザードに近づく。


 手に触れられる距離まで近づいて気づく。


 これ触っていい奴なのか?

 触れた瞬間、手が溶けたりしない?


 隕石メテオは溶けてないみたいだけど……心配だな。


 俺は髪の毛を一本抜いて、ポイズンリザードに落としてみる。


 溶けない。多分大丈夫かな?


 俺は恐る恐る触れる。

 大丈夫だった。


 今回は大丈夫だったが、触れないやつは吸収できないのか。

 そこはこのスキルの欠点にはなるな。


 俺はポイズンリザードを吸収。


 HP8上昇、MP2上昇、攻撃力2上昇、防御力1上昇、速度1上昇、スキルポイント1獲得


 スキル【強酸弾アシッドショットLv2】を獲得。

 耐性【毒耐性Lv1】を獲得。


 よし、毒耐性取れた。

 ついでにスキルもゲットだ。

 さっきのやつが使ってた技だな。


 ステータスは大して上昇しなかったが、スキルと耐性を取れたのは大きい。


 よし、この調子で出口を探しつつ、モンスターを倒して吸収するぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る