五十八日目・昼~六十七日目・昼
我が故郷・エルヤビビに再び戻ってきた。クルツホルム宛ての書簡を届けていたので、まずはその報酬をいただく。
そして情報収集、凍原についての話を聞く。……主、コロッサスポーン。でたわね。通常セッションでも倒すのがそこそこ面倒な奴に、ソロで挑まなければならないと来たか。
各種パラグラフを確認している時に、コロッサスジャマーなる救済アイテムの存在を確認しているので、倒せなくはないんだろうなぁ、とは思うが……ま、頑張ってみよう。大量に仕入れた金Sカードを全部吐き出すくらいのつもりで。
情報提供をしてくれた酒場の飲んだくれ共に感謝を告げて、凍原へと出発。
さらばエルヤビビ。次に戻ってくるのは、全てが終わった後だ。
主であるコロッサスによるものか、踏み固められたかのように平らな地面は堅く凍りついており、上を歩けば冷たい音が響く。
人はもちろん、動物の気配も感じない。この凍原地帯は、魔動機と魔神に占領されているようだ。〈サバイバルコート〉を着ていても身に染みる寒風からも、険しさというものが感じられる。
……と、詩的な感想を述べていると、またマドマニくんと遭遇した。正直処理を忘れる気しかしないので出会った時点でなんか寄越してくれ。
夜通し歩いて疲労が溜まっていたので、まずは野営を行ってから北進。魔神の群れと遭遇した。……ランダムイベントで出る奴と比べて、少々スペックが高いな。
とはいえ、所詮イベント戦闘。《マルチアクション》《魔力撃》と唱えられるようになったエルの敵ではない。さくっと殲滅し、再度野営。マドマニくんがスプリングフルーツとかいうものを持ってきてくれた。有用そうではあるが、今必要なものかと言われるとそうでもない……のか、これ。わからん。お腹空いたら食べよ。
さて、魔域は5のマスにあるそうなので……行ってみるか。主の移動判定、出目5。入れ違う形で2のマスへと向かっていった。
無事にやり過ごせたので、いざ魔域へ……と思ったが、イベント内容を見たところ、ここにジャマーが隠されているようだ。先にそっちを回収することにして、【フェアリーサポート】からの探索判定。……失敗。流石に目標値20はそう簡単にはいかないか。
日没後、吹雪の中へと消えていったマドマニを見送りながら再度探索。……6ゾロした。ジャマーが二個くらい見つかったかもしれない。
翌朝、今度こそ魔域へ───行こうとしたら、来てしまった。主・コロッサスポーンのエントリーだ。
先制判定、当然のように失敗して、脚から順に連続で行動していく───あっ死んだ。『〈熱狂の酒〉買ってから来た方がいいとおもいます』とメモに残して、行動パターンを変える。ジャマー回収後、4のマスへ一旦避難だ。
逃げ込んだ先は、守人達の監視哨だった。寝泊まりできる部屋を貸してもらいつつ、情報を提供してもらったり依頼を受けたりする。
彼らもあのコロッサスには困らされているようなので、ジャマーを回収していることを伝えて、破壊を申し出る。……実は一回殺されてるけど、言わなきゃバレない。
とはいえ、もう一度挑んでも同じ目に遭うだけだろう。すぐ隣にオクスシルダがあるので、休憩後、そちらへ移動した。
冒険者ギルドに赴き、書簡を渡しつつクエストの確認。……雪森の魔域を破壊すれば、クエストを二つ完了できるな。主のレッドヘルムを完封できることも分かっているし、先にこちらを片付けようか。
とりあえず、目的のぽしゃけを買いに商店街へ。それと、所持金が三万ちょっとあったので、念願の〈カースレベリオン〉も購入。物理にも魔法にも効くので、火力・耐久力共に結構変わるはずだ。
成長できるほどの★は溜まっていなかったので、買い物を終えたらここでやるべきことは終了だ。凍原の隣に広がる、雪森を目指して再出発をする。
ほとんど無人の凍原に比べれば幾分かマシ、という程度には、動物や木々の姿を確認できる。一方で、積もりに積もった雪の上を歩くことを考えると、険しいという点ではそう変わら無さそうだ。雪森への道を歩いた感想は、そんなところだった。
主の熊さんは、どうやら自分の縄張りから動かないらしい。なるほど、いつでも掛かってこいよ、というスタンスなんだな。
では早速向かわせてもらおう、と意気込んでいると、氷でできた大きな扉を見つけた。近づこうとすると、どこからともなく現れた、氷の妖精・スカディに呼び止められた。そのまま近づくのであれば容赦はしない、と。
流石に喧嘩を売って勝てる相手だとは思えないので、大人しく従うことにしつつ、パルアケで買った盾のことを思い出す。彼女ならこの盾の力を復活させることができるんだったか。
お願いしてみると、代わりにひとつ頼まれてくれ、とのことだった。なんでも、妖精郷を統べる妖精姫が何者かに連れ去られてしまい、その際、秘宝である〈妖精姫のティアラ〉も奪われてしまったのだそうだ。それを持ち帰ってくれれば、ということらしい。
承諾して、翌日5のマスへ。魔神の大群を蹴散らしてから小休憩、大熊が待ち構える2のマス・岩場へと向かう。
───そこに踏み入ったと同時、岩陰から奴が襲い掛かってきた。アンブッシュとは、畜生にしては頭を使うじゃあないか。
もっとも、開幕の爪での二連撃と、頭部での噛みつきをなんとか避けてしまった後は、ただのピンゾロチェック大会と化してしまったので、やはり描写は割愛されるのだが。
ベアハッグに成功されていたら勝負はわからなかったが……まぁ、物理攻撃しか持たない割には頑張ったほうだな。
安全を確保した所で、付近の探索を行う。……犠牲者のものらしき財産と、〈妖精姫のティアラ〉を見つけた。魔域の攻略が終わったら、スカディに届けてあげるとしよう。
日が昇って、六十四日目の朝。隣の古戦場へと進む。吹雪の中からコープスコープスが姿を現したが、言うまでもなく、な戦力差だ。
『呪われた光』で削れた分のHPを適当に回復して、傍らに浮かんでいた魔域へと突入する。内郭域に+1しつつ、外郭域【アレクサンドラの魔域Ⅱ】へ。
◇ ◇ ◇
枯れ木と雪ばかりの現世とは対象的な、美しい山紅葉に囲まれた森の中。魔域の中とは思えないほど綺麗なところだが、アレクサンドラ様はここで何をなさるのか。
訊ねると、「イリーチナ様のご病気を治すために、薬花を探しに来たことがある。だが、当時の私はそれを見つけられず、イリーチナ様は片目の視力を失ってしまった」……だそうだ。
プロローグと魔域Ⅰの時点ではそんな描写は無かったので、それらの後の話なんだろうか。それともSNEが書き忘れただけなんだろうか。いずれにしろ、脚をもがれたり盲目になったり、イリーチナ様の人生は中々のハードモードだったらしい。
何はともあれ、アレクサンドラ様のためにもイリーチナ様のためにも、薬を探す手伝いをしよう。
道中、茨の毒に抵抗するために〈陽光の魔符Ⅱ〉をビリっとしたり、大岩を動した際の疲労をノマリのおくすりで回復したりして、無事に薬花を手に入れた。アンフィスバエナとかいうのがいた気がするが、半分くらいアレクサンドラ様とナナリィさんが片付けてくれました。
そして花を手に入れると、突然豪著な寝台の前へと瞬間移動させられる。そこに腰掛けていたイリーチナ様は、感謝の言葉と共に、〈黒銀の指笛〉を渡してくれた。
これもアレクサンドラ様の遺品のひとつであるらしい。追加の行動表は……必中物理ダメージか。威力もそこそこ高いので、通常攻撃よりはこちらを使ってもらったほうが良さそうだ。
アレクサンドラ様が指笛を着けたのを確認した後、内郭域【雪に埋もれた祈り】へと進むことに。
◇ ◇ ◇
現世と同じく、雪深い森の中。カティアさんと初めて会った時のように、人族と魔神が戦いを繰り広げているところだった。
その時と異なるのは、人族側は既にほとんどの者が戦死しており、残っているのは、瀕死のドワーフの少年・ヌーリッキと、彼を守るように抱き抱えているメリアの女性───ナナリィの二人しかいないこと。
少年は口から血を零しながら、「もう自分を許してあげてください。みんな、貴女を助けたかっただけなんですよ」とナナリィに伝えると、意識を失った。……まだ死んではいなさそうだが、目の前に魔神共が押し寄せてきているこの状況、遅かれ早かれ命を落とすことになるだろう。
だが、それは史実の話だ。今この場にはもう三人、魔神と戦えるものが───あれ。ナナリィさん、なんかフェローとして戦わせないほうが良さげな感じの文面だなこれ……オーケー、ならそれで行こう。
そういう訳で、魔神・マハティガとの戦いには、エル、アレクサンドラ様、そして『熟達した妖精剣士』と化したナナリィ、という布陣で挑むことになった。
先制、もはや失敗するのが当たり前になってきた。マハティガの猛攻をエル一人ですべて受け止めて───残りHP、5。あぶねえ、〈カースレベリオン〉が無ければ出オチだった。
ナナリィさん、回復たのみまs……おいなんで光契約してねえんだ!!フェローだった時は【プライマリィヒーリング】してくれてたじゃないですか!!!
……仕方がないので、【ミストハイド】を延々かけてもらうことにしよう。アレクサンドラ様も、残念ながらキュアウはしてくれず。
このままだと次のラウンドで100%死んでしまうため、万が一に備えて買っておいたSカードをぶん投げて【ヒールスプレー】を発動。《マルチアクション》【アドバンストヒーリング】も重ねて、一気にHP42まで回復。備えあればなんとやらだ、買っておいてよかったマジで。
一安心できたところで《魔力撃》、『切り裂く風刃』と『飛翔』が鬱陶しいのと、頭部にかけらを全部突っ込んだせいで落とすのに時間がかかるため、ここは翼から殴っていくことに。21点、〈カースレベリオン〉のおかげでクリティカルしなくともまあまあのダメージが出ている。やはりこれも買って正解だった。
敵の二手目、翼と胴体の攻撃は順当に耐えて───頭部の行動方針、出目6。PC絶対殺すマンのわたしが選んだのは、【バトルソング】だ。これで【ミストハイド】の回避力は帳消し、油断の出来ない展開が続くことに。
こちらの手番。アレクサンドラ様が指笛を吹くと、黒き狼の幻影が現れ、魔神の喉笛に食らいついた。なるほど、これが"黒狼使い"という二つ名の由来か。
ナナリィさんには引き続き【ミストハイド】をしていただき、エルの行動。【ヴォーパルウェポン】をSカードで使い、《マルチアクション》《魔力撃》。まずは打撃部分から判定を行って、ふたたび21点。魔法部分では無難に【プライマリィヒーリング】で回復。
なお、魔法行使やら練技やらのMPはちょくちょく〈魔晶石〉から使っているが、さすがに書き起こすのが面倒なので割愛している。
ヌーリッキくんが生死判定で目標値ジャストを叩き出したのを見て「ヒエッ」という声を上げつつ、敵の三手目。風刃がついにナナリィの方へと飛んでいったが、軽傷で済んだ。胴体の攻撃もなんとか回避。
最後に頭部、【サモン・インセクト】に抵抗して、近接攻撃にはブレスカ発動。回って、回って……五回転、38ダメージ。いい流れだ、早いところ終わらせてヌーリッキ少年を助けてやろう。
こちら三手目、アレクサンドラ様が再び黒狼を呼び出し……これもクリティカル、防護点を引いて17のダメージを頭部へと。素晴らしいご活躍です。
ナナリィさんは変わらずで、エルは《マルチアクション》とだけ言ってから、とりあえず【フレイムアロー】を翼へ。16点残った所へ《魔力撃》での追撃、翼をへし折ることに成功した。
敵の四手目、胴体は適当にブレスカで切り裂いたが、頭部の【ゴッド・フィスト】がエルにもナナリィにも襲いかかる。エルは抵抗して7点、ナナリィはクリティカルで27点、一気に削られた。もう一回転していたら死んでいたかもしれない。
なんとか立っているのを確認して、こちら四手目。アレクサンドラ様の槍とエルの《魔力撃》の二連撃で、ようやくマハティガを沈めることができた。+1されているとはいえ、中々の強敵だった。
戦闘が終わると同時に、ナナリィはその場に崩れ落ちてしまう。ヌーリッキは無事なはずだが……
駆け寄ると、ぽつり、ぽつりと自身の過去を語り始めた。ヌーリッキのことはアレクサンドラ様に任せて、それを聞くことにする。
……なるほど。愛した男たちが、「私を守って」と言って戦場へ送るたびに、みな帰らぬ人となってしまったことを後悔し、そして彼らからは恨まれているものだと思っていた、と。
だがその考えは、先のヌーリッキの言葉によって否定されてしまった。……それはそれで、苦しい思いをすることになってしまう真実ではあったが。
気がつくと、彼女は姿を消していて、代わりに一本のジャスミンの樹が生えていた。長命種のメリアは、その生涯を終えた時、樹木に姿を変えてしまう───つまりはそういうことだろう。
こんな話の後で彼女をフェローとして呼び出そうとするのは、なんだか躊躇われるなぁ……と思いつつも、ヌーリッキからの贈り物であるアングレカムの指輪を手に、魔域を去ることにしたのだった。
ちなみに、アングレカムの花言葉は「祈り」「いつまでもあなたと一緒」だそうだ。……すべてが終わったら、この指輪はパルアケにいる彼女の元に届けてやるとするか。
◇ ◇ ◇
なんだかこの備忘録に似合わないシリアスな雰囲気になってしまったが、旅を再開しよう。オクスシルダへ帰還するために、3→5→6と逆走していく。
吹雪に襲われつつ、帰還の前にスカディへティアラを返却する。礼として盾に魔力を注ぎ直してもらって、真の力を解放。これでナナリィの遺品がすべて揃い、行動表が埋まった。……改めて、隙の無い構成だな。普通に遊ぶならナナリィ一択じゃないだろうか、と思えるレベルだ。
一応、普通に装備品としても使えるようだが、《防具習熟A/盾》が必要になるので、残念ながら今回は無理そうだ。性能自体は〈アステリアの守り〉の上位互換と言って差し支えないものなので、フェアテメインのPCならば、戦闘特技の優先順位を変えてでも装備する価値はありそう。
遺品としても装備品としても結構いいアイテムだなぁ、と頷いていると、スカディから追加のお願いをされた。凍原に妖精姫様が囚われているようなので、良ければこれも手伝ってもらえないだろうか、とのこと。魔域も主も残している関係上、行かない理由はない。
これも承諾した後、ひとまずはオクスシルダで諸々の報告をしようと決めて、雪森を後にした。
六十六日目の夜、オクスシルダに帰還。魔域攻略、主討伐、鉄道の開通と報告して、計69000ガメルの報酬を手に入れた。……いよいよSSカードしか買うものがないな。
★も十分に溜まっていたので、成長処理へ。……能力値、3ゾロで強制的に筋力を上げさせられた。今更必筋上限上がっても遅いんスよ。
技能は、フェンサーを10に、エンハを3にして【ビートルスキン】を習得。回避特化と言えど、格上相手では絶対に避けられるとも限らない……というか実際コロッサスにボコボコにされているので、いい加減ちゃんと防護点を稼いでおくか、という判断によるものだ。戦闘準備の段階で使えるので、先制攻撃を凌げるのも大きい。
宿屋に向かう前に、買い物タイム。あまりにも心強い命綱である、と判明したので、緑のSカードを十枚買う。数が心許なくなっていたので〈魔晶石(10点)〉も七個。防護点を更に底上げするために〈アイソアーマスク〉も購入、即装着。
それと、前回買い忘れた〈防寒着〉もここで買っておく。前回どころか、エルヤビビに着いた時点で買うのが正しかった気がする。
それでも六万ガメル余ったので、赤のSSカードを……ちょっと悩んで、二枚買った。ラスボス戦と、コロッサス戦で一枚ずつ使う予定だ。
……かっちゃった。いくら金が余るソロプレイとはいえ、まさかレベル10でSSカードを握ることになるとは思わなかった。
さぁ、準備は整った。今度こそコロッサスを破壊するべく、いざ再びの凍原へ───といったところで中断。次回、コロッサスリベンジから。
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本備忘録、二度目の死亡回であった。ソロだとああなってしまったけど、パーティだったらある程度ダメージが分散して、逃げ延びられはする……かな?
なんにせよ、ろくな準備もせずに凍原に立ち入らない方がいい、ということで。最低限〈熱狂の酒〉を買うのと、防護点を稼いでおくべきだろう。うむ。
……《頑強》取ったりファイターだったりしたら生きてたんじゃね?というのは考えないことにしよう。フェンサーちゃんだから死んだ、みたいな考えはよくないとおもいます。
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