“アイ”棒
小さい頃からいつも一緒だった。
保育園も、所属してるスポーツクラブも、小学校も、中学校も、高校も、部活も、ずっと一緒だった。
俺の隣にはいつもアイツがいた。
怒られる時も、泣く時も、悪ふざけする時も、頑張る時も、いつも一緒だった。
部活でも息ピッタリの相棒だった。
これからも、それはずっとずっと変わらないんだって、そう思ってた。
そんなアイツに彼女ができた。
高校3年、卒業する前に勇気を出して告白してくれたんだと照れくさそうに言った。
彼女と一緒に東京の大学に進学するんだって嬉しそうに言った。
部活もなくなって、彼女と過ごす時間が増えて、アイツとの時間は自然と減っていった。
俺は、大学も当たり前にアイツと同じところに行くんだと思っていた。
同じ、地元の大学に行くんだと思ってた。
また同じサークルに入ったりバイトしたりして、腐れ縁だなんて笑いながら、アイツの隣にはいつも俺がいるんだと思ってた。
でも、そうじゃないんだなと気付いた。
なんだか分からないけど、悔しいような寂しいような気持ちだった。
アイツのことなら、なんでもわかってるつもりだった。
でも、そうじゃなかったんだと気づいた。
なんだか心にぽっかり穴が空いたように感じた。
こういう気持ちをなんて言うのか、俺には分からない。
だけど、変わらずに確かにあるのは、アイツはこれからも俺にとって大切な相棒ってことだ。
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