姉弟“アイ”
僕の住んでいるところはすごい田舎で、周りは田んぼと畑と山ばっかりだ。
こんなすごい田舎で、優しくて綺麗な僕の姉さんは、近所で人気で、まるでアイドルみたいだった。
友達にもいつも「さおりさんが姉ちゃんなんて、お前はいいなー!」って羨ましそうに言われてた。
姉さんは、僕の自慢だった。
一回り年上の姉さんは、とても大人で、大学進学で家を出ていくと決まった時はとても悲しかった。
でも、長いお休みにはいつも帰って来てくれて、一緒に遊んだりもしてくれた。
優しい姉さんが大好きだった。
でも、ある夏の日、姉さんは知らない男と家に帰ってきた。
「今、この人とお付き合いしてて、大学卒業したら、結婚しようと思ってるの。」
父さんと、母さんと、僕を目の前にして、姉さんは少し照れくさそうな様子で言った。
今まで見たことないような姉さんに僕は戸惑った。
そういえば、冬頃に帰って来た時も妙にソワソワして、スマートフォンにメッセージが届くと、少し頬を赤らめて、嬉しそうな恥ずかしそうな顔をしていた。
そんな姉さんを見た時も、今まで見たことないと思って、なんだかむず痒い気持ちになったのを思い出した。
あの時も、この男からの連絡にそんな顔をしていたのだろうか。
そう考えると、妙にイライラした。
この男が、僕のよく知ってる姉さんを僕から奪おうとしてるようなそんな気持ちになった。
結婚なんてしたら、もう帰ってこないかもしれない。
そうしたら、姉さんはますます僕の知らない姉さんになってしまうかもしれない。
そんなのは嫌だ!
そんな風に反発して、男を邪険に扱って、結婚しなきゃいいと思ってた。
それなのに、二人が結婚して数年、まるで昔から知ってる大親友みたいに仲良くなって、姉さんに嫉妬されるなんて、あの頃は思わなかったな。
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